第19回 言語聴覚士国家試験 第96問
聴力検査第19回
ティンパノグラムのピークが、-200daPa以下にみられた。疑うべき病態はどれか。
a.感音難聴
b.耳硬化症
c.耳管狭窄症
d.滲出性中耳炎
e.耳小骨連鎖離断
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
ティンパノグラムのピークが-200daPa以下(負圧側に深く低下)にみられるのは、**中耳腔内の気圧が陰圧になっている状態**を示しています。これは耳管機能不全によって中耳が陰圧化する病態を反映しており、耳管狭窄症と滲出性中耳炎が該当します。
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【各選択肢の解説】
a.感音難聴
❌ 誤り。感音難聴は内耳(蝸牛)の障害であり、中耳圧を反映するティンパノグラムは正常です。ティンパノメトリーは伝音系の評価検査なため、感音難聴とは無関係です。
b.耳硬化症
❌ 誤り。耳硬化症は中耳圧には影響しません。ティンパノグラムはA型(正常)を示しますが、スタペジウス筋反射が消失するのが特徴です。ピークの位置は正常のまま変わりません。
c.耳管狭窄症
✅ 正しい。耳管の狭窄により中耳の陰圧化が起こり、ティンパノグラムのピークが-200daPa以下に低下します。典型的な病態です。
d.滲出性中耳炎
✅ 正しい。滲出液貯留に伴う耳管機能不全により、中耳が陰圧化します。小児に多く見られ、ティンパノグラムの負圧化は診断的価値の高い所見です。
e.耳小骨連鎖離断
❌ 誤り。耳小骨連鎖離断ではティンパノグラムはAd型(高コンプライアンス)を示します。中耳圧は正常のままで、ピークの位置は変わりません。
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【試験対策ポイント】
ティンパノグラムの型と所見:
| 型 | 圧 | コンプライアンス | 主な原因病態 |
|---|---|---|---|
| A型 | 0daPa | 正常 | 正常耳・初期滲出性中耳炎 |
| Ad型 | 0daPa | 高い | 耳小骨連鎖離断・耳硬化術後 |
| As型 | 0daPa | 低い | 耳硬化症・中耳硬化症 |
| B型 | 不明確 | 低い | 滲出性中耳炎(進行例)・鼓膜穿孔 |
| C型 | -200daPa以下 | 正常~低い | 耳管狭窄症・滲出性中耳炎(初期) |
重要な区別:
- **圧異常(C型=-200daPa以下)**:耳管機能不全による陰圧化→耳管狭窄症・滲出性中耳炎
- **コンプライアンス異常**:耳小骨連鎖の異常→Ad型(離断)またはAs型(固定)
スタペジウス筋反射との組み合わせ:
- 耳硬化症:A型+反射消失
- 耳小骨連鎖離断:Ad型+反射消失
- 滲出性中耳炎:C型またはB型+反射消失(中耳液がある場合)