第19回 言語聴覚士国家試験 第97問
補聴器・人工内耳第19回
オープンフィッテイングの補聴器について正しいのはどれか。
a.ハウリング抑制の機能が重要である。
b.イヤモールドは用いられない。
c.外耳道共鳴が起きない。
d.250Hzから1,000Hzの聴力が30dBHLの高音漸傾型の成人難聴者は適応となる。
e.高音域の増幅率は外耳道を密閉した補聴器と同等である。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — a,d,e
オープンフィッティングの補聴器は、外耳道を密閉しない(フェノール樹脂やメッシュを用いた開放型イヤモールド)という構造的特徴から、ハウリング抑制が重要になり、高音域の増幅が必要な高音漸傾型難聴者に適応されます。一方、外耳道を開放する構造であるため、外耳道共鳴が起きず、低音域の不快感を軽減できます。
---
【各選択肢の解説】
a. ハウリング抑制の機能が重要である。
✅ 正しい。オープンフィッティングでは外耳道が密閉されていないため、増幅された音が漏れやすく、マイクロフォンに再度入力されてハウリングが発生しやすくなります。そのため、ハウリング抑制(ハウリングキャンセラー)機能は必須です。
b. イヤモールドは用いられない。
❌ 誤り。オープンフィッティングでもイヤモールドは用いられます。ただし、従来の密閉型イヤモールドではなく、フェノール樹脂製やメッシュ製などの開放型イヤモールドを使用します。「用いられない」という表現は誤りです。
c. 外耳道共鳴が起きない。
❌ 誤り。オープンフィッティングでは外耳道が開放されているため、むしろ外耳道共鳴は低減されます。しかし「起きない」とは言い切れず、完全には消失しません。正確には「外耳道共鳴の影響が軽減される」という表現が適切です。
d. 250Hzから1,000Hzの聴力が30dBHLの高音漸傾型の成人難聴者は適応となる。
✅ 正しい。オープンフィッティングは、低音域の聴力が比較的良好で、高音域の聴力が低い高音漸傾型難聴者に最適です。この症例は低音域(250~1,000Hz)が30dBHLで比較的良好であり、典型的な適応対象です。低音域の増幅を避けることができ、聞き手の不快感(閉塞感)を軽減できます。
e. 高音域の増幅率は外耳道を密閉した補聴器と同等である。
✅ 正しい。オープンフィッティングでは、高音域の周波数特性を整えるため、外耳道を密閉した補聴器と同程度の高音増幅が必要です。ハウリングを抑制しながらも、必要な高音増幅を確保する技術が重要になります。
---
【試験対策ポイント】
補聴器フィッティング方式の比較
| 特性 | オープンフィッティング | 密閉型フィッティング |
|---|---|---|
| イヤモールド | 開放型(メッシュ・フェノール樹脂) | 標準型・耳殻型 |
| 外耳道共鳴 | 低減される | 生じる(2~4kHz) |
| ハウリング | 起きやすい(対策必須) | 低リスク |
| 適応難聴型 | 高音漸傾型(低音良好) | 水平型・急墜型 |
| 低音域不快感 | 軽減 | 強い可能性 |
| 閉塞感 | なし | あり |
オープンフィッティングの適応判定キーワード:
・低音域(250~1,000Hz):聴力が30~40dBHL以上良好
・高音域(4,000~8,000Hz):聴力が軽度~中等度難聴
・高音漸傾型パターン
ハウリング抑制技術(オープンフィッティング必須):
・位相反転