第19回 言語聴覚士国家試験 第98問
補聴器・人工内耳第19回
補聴器の規準の状態の測定について正しいのはどれか。
- 1.周波数を表す特性図の横軸は線形目盛である。
- 2.出力制限装置の作用を最大にする。
- 3.カプラの種類によって得られる特性が異なる。 ✓
- 4.補聴器のボリュームを最小の位置にして測定する。
- 5.カプラとの接続を緩めてハウリング耐性を検査する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — カプラの種類によって得られる特性が異なる。
補聴器の規準の状態における測定は、国際規格(IEC)で厳密に定められています。カプラの種類(6cc耳朶カプラ・2cc人工耳など)により、腔共鳴特性が異なるため、同じ補聴器でも得られる周波数特性が変わります。測定環境の標準化を図るために、カプラの選択は重要な要素です。
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【各選択肢の解説】
1. 周波数を表す特性図の横軸は線形目盛である。
❌ 誤り。補聴器の周波数特性図の横軸は対数目盛(log scale)です。これにより、低周波から高周波までを1つの図に適切に表示できます。線形目盛では低周波域が圧縮されて見えにくくなるため、実用性がありません。
2. 出力制限装置の作用を最大にする。
❌ 誤り。規準測定時は、出力制限装置(音量制限=最大出力制限)の作用を「最小化」または「無効」にして測定します。これにより、補聴器の本来の周波数特性を正確に把握できます。最大にすると制限がかかって特性が歪みます。
3. カプラの種類によって得られる特性が異なる。
✅ 正しい。2cc耳朶カプラと6cc人工耳カプラでは腔容積が異なるため、腔共鳴周波数が変わり、同じ補聴器でも周波数特性曲線の形状が異なります。測定時は統一されたカプラの使用が必須です。
4. 補聴器のボリュームを最小の位置にして測定する。
❌ 誤り。規準測定時は、ボリュームを「参考位置」(Reference Test Position:RTP)に設定して測定します。最小位置では利得が得られず、補聴器の特性を評価できません。メーカーが指定した標準位置での測定が要求されます。
5. カプラとの接続を緩めてハウリング耐性を検査する。
❌ 誤り。規準測定では、カプラとの接続を確実に「密閉」して測定します。接続を緩めるとハウリングが増加しますが、これは補聴器本体の特性ではなく装着状態の問題であり、規準測定の対象外です。ハウリング耐性は別途、フィードバック制御システムの評価として扱われます。
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【試験対策ポイント】
規準測定の5つの標準化条件:
| 項目 | 規準の状態 |
|---|---|
| 周波数特性図の横軸 | 対数目盛(125Hz~8kHz) |
| ボリューム位置 | 参考位置(RTP)に固定 |
| 出力制限装置 | 最小化または無効化 |
| カプラ種類 | 2cc耳朶カプラまたは6cc人工耳(統一) |
| カプラ接続 | 密閉(ハウリングなし) |
重要な区別:
- 「規準測定」:IEC規格に基づく標準化された測定→補聴器の本来特性を評価
- 「臨床測定」:装用者の実際の聞こえ方を評価→多様な状態を反映
カプラ選択の実践的な目安:
- 2cc耳朶カプラ:耳朶に装用される補聴器(耳かけ型・耳穴型)
- 6cc人工耳カプラ:大型補聴器(胸部装用など)