第20回 言語聴覚士国家試験 第108問
精神医学第20回
せん妄についてで誤っているのはどれか。
- 1.急に症状が現れる。
- 2.錯覚や幻覚がみられる。
- 3.興奮した言動がみられる。
- 4.見当識の障害がみられる。
- 5.病状が不可逆的に進行する。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 病状が不可逆的に進行する。
せん妄は典型的には可逆的な症状であり、原因となった身体的・医学的条件が改善されれば症状は消失します。症状の急性発症、変動性、多彩な精神症状(幻覚・錯覚・興奮など)が特徴ですが、不可逆的な進行性疾患ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. 急に症状が現れる。
✅ 正しい。せん妄の定義的特徴は「急性発症」です。数時間から数日で症状が出現し、症状の程度は時間帯によって変動します(特に夜間に悪化する傾向)。
2. 錯覚や幻覚がみられる。
✅ 正しい。視覚幻覚(例:小動物が見える、虫がはい回っているように見える)や聴覚幻覚が高頻度で出現します。これは認知症では珍しいせん妄特有の症状です。
3. 興奮した言動がみられる。
✅ 正しい。せん妄は「過活動型」「低活動型」「混合型」に分類されます。過活動型では落ち着きのない興奮状態を示し、低活動型では逆に無関心・無動を呈します。
4. 見当識の障害がみられる。
✅ 正しい。時間・場所・人物に対する見当識障害は顕著です。特に時間見当識が最初に障害されやすく、その後場所・人物順に悪化することが多い傾向が知られています。
5. 病状が不可逆的に進行する。
❌ 誤り。せん妄は「可逆的」な意識障害です。原因(感染症・脱水・薬物・低血糖・肝障害など)が除去されれば症状は消失します。これが進行性の認知症と根本的に異なる点です。
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【試験対策ポイント】
| 項目 | せん妄 | 認知症 |
|---|---|---|
| 発症 | 急性(数時間~数日) | 緩徐(数カ月~数年) |
| 意識清明度 | 低下・変動 | 保持 |
| 幻覚・錯覚 | **高頻度**(特に視覚) | 低頻度 |
| 見当識障害 | あり | あり |
| 可逆性 | **可逆的** | 不可逆的 |
| 日内変動 | 著しい(夜間増悪) | なし |
せん妄の成因(スクリーニング:DELIRIUM)
- Drugs(薬物) / Dehydration(脱水)
- Electrolyte disorder(電解質異常)
- Lack of O₂(低酸素)
- Infection(感染症)
- Reduced sensory input(感覚遮断)
- Intoxication(中毒)
- Uremia(尿毒症)
- Metabolic disorder(代謝異常)
頻出の紛らわしい点:「幻覚がある=認知症」と誤解しやすいが、むしろせん妄で多い症状である。