第20回 言語聴覚士国家試験 第112問
嚥下障害第20回
嚥下障害や誤嚥の改善に用いない手術はどれか。
- 1.喉頭挙上術
- 2.喉頭摘出術
- 3.声門開大術 ✓
- 4.喉頭気管分離術
- 5.輪状咽頭筋切断術
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 声門開大術
声門開大術は嚥下障害の改善を目的とした術式ではなく、呼吸困難の改善を目的としています。一方、他の4つの術式は全て嚥下障害や誤嚥の防止を目的とした手術です。
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【各選択肢の解説】
1. 喉頭挙上術
✅ 正しい。喉頭を上方に挙上させることで、嚥下時の喉頭の上昇運動を補助し、喉頭前庭の狭小化を促進します。これにより誤嚥を防止します。咽頭咀嚼期から咽頭期への移行を改善する目的で行われます。
2. 喉頭摘出術
✅ 正しい。喉頭全体を摘出する術式で、喉頭気管分離術では改善されない重度の誤嚥患者に対して行われます。誤嚥の根本的な防止が可能ですが、音声喪失が伴います。
3. 声門開大術
❌ 誤り。この術式は声門を拡大して気道を広げ、呼吸困難を改善することが目的です。両側反回神経麻痺で気道狭窄が生じた場合に用いられます。嚥下機能の改善には直接寄与しません。
4. 喉頭気管分離術
✅ 正しい。喉頭と気管を解剖学的に分離し、下咽頭を食道へ導き、喉頭を呼吸気道から遮断します。これにより誤嚥を完全に防止できます。音声は保持されます(喉頭摘出術との大きな違い)。
5. 輪状咽頭筋切断術(クリコファリンジアルミオトミー)
✅ 正しい。輪状咽頭筋(CP筋)の過緊張を軽減し、咽頭から食道への通過を容易にします。嚥下時の圧力勾配を改善し、誤嚥や嚥下困難を軽減させます。
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【試験対策ポイント】
嚥下改善手術と呼吸改善手術の区別
| 術式 | 目的 | 対象症状 | 音声 |
|---|---|---|---|
| 喉頭挙上術 | 嚥下改善 | 軽度誤嚥 | 保持 |
| 喉頭気管分離術 | 誤嚥防止 | 重度誤嚥 | 保持 |
| 喉頭摘出術 | 誤嚥防止 | 最重度誤嚥 | 喪失 |
| 輪状咽頭筋切断術 | 嚥下改善 | 咽頭期障害 | 保持 |
| 声門開大術 | 呼吸改善 | 気道狭窄 | 低下 |
重要キーワード
- 声門開大術:「気道拡大」が目的(誤嚥改善ではない)
- 両側反回神経麻痺のジレンマ:喉頭を完全に開くと嚥下が悪くなる
- 嚥下改善手術の順序:軽度→喉頭挙上術→重度→喉頭気管分離術→最重度→喉頭摘出術