STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第118問

呼吸系第20回
正しいのはどれか。
  1. 1.最大呼気位とは肺内の空気を全て呼出した状態である。
  2. 2.安静呼気位とは呼吸筋が弛緩した状態である。 ✓
  3. 3.深吸気では腹筋を積極的に利用する。
  4. 4.無声摩擦音生成時には呼気が停止する。
  5. 5.持続発声時には横隔膜は徐々に収縮する。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 安静呼気位とは呼吸筋が弛緩した状態である。 安静呼気位(Functional Residual Capacity = FRC)は、呼気筋と吸気筋の筋力が均衡した状態であり、呼吸筋全体が弛緩している唯一の肺容量である。この状態では外的な筋力を必要とせず、呼吸が最も効率的に行われます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 最大呼気位とは肺内の空気を全て呼出した状態である。 ❌ 誤り。最大呼気位(Residual Volume = RV)は、最大限に呼気してもなお肺内に残存する空気の量であり、「全て呼出した状態」ではない。完全に空にすることは生理的に不可能です。 2. 安静呼気位とは呼吸筋が弛緩した状態である。 ✅ 正しい。安静呼気位(FRC)は吸気筋と呼気筋の筋力が釣り合った唯一の肺容量であり、外的なエネルギーを必要としない弛緩状態です。 3. 深吸気では腹筋を積極的に利用する。 ❌ 誤り。深吸気時には横隔膜と外肋間筋が主に働きます。腹筋は呼気(特に努力呼気)時に利用される呼気筋であり、吸気時には利用されません。 4. 無声摩擦音生成時には呼気が停止する。 ❌ 誤り。無声摩擦音([s]、[f]、[θ]など)は声帯を離した状態で呼気流を通し、口腔内の狭窄部で摩擦を生じさせることで生成されます。呼気は継続しており、停止していません。 5. 持続発声時には横隔膜は徐々に収縮する。 ❌ 誤り。持続発声時には横隔膜は弛緩が継続し、呼気筋(腹筋・内肋間筋など)が緩やかに収縮することで安定した呼気圧を保ちます。横隔膜の収縮は吸気相に起こります。 --- 【試験対策ポイント】 肺容量と呼吸筋の関係 | 肺容量 | 定義 | 呼吸筋の状態 | |---|---|---| | 最大吸気位(TLC) | 最大限に吸入後 | 吸気筋が最大収縮 | | 安静呼気位(FRC) | 呼吸筋弛緩 | 吸気筋と呼気筋が釣り合う(最大の効率) | | 最大呼気位(RV) | 最大限に呼出後も残存 | 呼気筋が最大収縮 | 呼気流と音声生成 無声音:呼気流あり→狭窄部での摩擦(摩擦音)、閉鎖後の放出(破裂音) 有声音:呼気流あり+声帯振動→基本周波数生成 呼吸筋の役割 | 筋群 | 作用 | 具体例 | |---|---|---| | 吸気筋 | 収縮時に吸気 | 横隔膜、外肋間筋 | | 呼気筋 | 収縮時に呼気 | 腹筋、内肋間筋 | 【頻出の紛らわしい点】 「呼気が停止する」という選択肢は無声音に関するひっかけ。無声音でも呼気流は「継続」していることが重要です。この知識は音響音声学とも繋がる重要な概念です。
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