第20回 言語聴覚士国家試験 第124問
解剖学第20回
感覚受容器について誤っているのはどれか。
- 1.皮膚感覚を担う受容器の受容野の大きさは多様である。
- 2.痛覚と圧覚とで異なる受容器がある。
- 3.平衡感覚の受容器は体幹部に集中している。 ✓
- 4.味覚受容器の適刺激のほとんどは水溶性である。
- 5.制止している四肢の感覚的位置情報は運動感覚の受容器からもたらされる。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 平衡感覚の受容器は体幹部に集中している。
平衡感覚の受容器(前庭器官)は内耳に位置し、決して「体幹部に集中」していません。三半規管と球形嚢・卵形嚢は側頭骨内に限局しており、体幹部ではなく頭部(耳)にあります。選択肢3は空間的位置を誤認した典型的な誤文です。
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【各選択肢の解説】
1. 皮膚感覚を担う受容器の受容野の大きさは多様である。
✅ 正しい。メルケル盤は受容野が小さく(指腹で1~2mm)、パチニ小体は受容野が大きい。受容体の種類と分布密度によって受容野は大きく異なります。
2. 痛覚と圧覚とで異なる受容器がある。
✅ 正しい。痛覚はノーシセプタ(自由神経終末)、圧覚はメルケル盤やマイスネル小体などの専用受容器です。これらは明らかに異なる受容器です。
3. 平衡感覚の受容器は体幹部に集中している。
❌ 誤り。前庭器官(平衡感覚受容器)は内耳(側頭骨内)に位置する頭部構造です。体幹部ではなく「頭部」に集中しており、解剖学的位置を示す誤文です。
4. 味覚受容器の適刺激のほとんどは水溶性である。
✅ 正しい。味蕾の化学受容器は水溶性物質(塩、酸、糖類、アミノ酸など)に反応します。揮発性香気物質は嗅覚の範疇です。
5. 制止している四肢の感覚的位置情報は運動感覚の受容器からもたらされる。
✅ 正しい。筋紡錘・腱器官・関節受容器などの深部感覚受容器が、動き止まった四肢の位置覚(proprioception)を提供します。
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【試験対策ポイント】
感覚受容器の分類と位置
| 受容器 | 種類 | 位置 |
|---|---|---|
| メルケル盤 | 機械受容器 | 皮膚表皮基底層 |
| マイスネル小体 | 機械受容器 | 真皮乳頭層 |
| パチニ小体 | 機械受容器 | 皮下織深層 |
| ノーシセプタ | 痛覚受容器 | 皮膚全層 |
| 前庭器官 | 平衡受容器 | 内耳(側頭骨) |
| 味蕾 | 化学受容器 | 舌乳頭 |
| 筋紡錘 | 深部感覚受容器 | 骨格筋内 |
受容野のサイズ
- 小:メルケル盤(1~2mm)→弁別閾が小さい=精密感
- 大:パチニ小体(50~100mm)→素早い変化検出
深部感覚受容器の役割
- 筋紡錘:筋の長さ・伸展速度
- 腱器官:張力
- 関節受容器:関節角度・運動速度
重要な否定知識
- 前庭器官は「体幹部」ではなく「頭部(内耳)」
- 時間感覚には「専用受容器」が存在しない(中枢処理で成立)