第20回 言語聴覚士国家試験 第14問
臨床神経学第20回
ラクナ梗塞について誤っているのはどれか。
- 1.欧米人より日本人に多い。
- 2.高血圧との関連が深い。
- 3.穿通枝動脈の閉塞が原因となる。
- 4.多発例では認知症のリスクが高い。
- 5.抗凝固薬が第一選択である。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 抗凝固薬が第一選択である。
ラクナ梗塞は穿通枝動脈(小血管)の閉塞による小梗塞で、高血圧が主要な危険因子です。治療の第一選択は抗血小板薬(アスピリンなど)であり、抗凝固薬ではありません。抗凝固薬はカルディオエンボリズム(心原性塞栓)を疑う場合に用いられます。
---
【各選択肢の解説】
1. 欧米人より日本人に多い。
✅ 正しい。ラクナ梗塞は小血管型脳梗塞の中でも日本人に多い梗塞タイプです。これは高血圧の有病率が関連しており、欧米ではアテローム硬化型脳梗塞の方が多い傾向にあります。
2. 高血圧との関連が深い。
✅ 正しい。ラクナ梗塞の主要な危険因子は高血圧です。慢性的な高血圧により穿通枝動脈の脂質沈着病変(脂質融解性壊死)が発生し、動脈狭窄が進行します。
3. 穿通枝動脈の閉塞が原因となる。
✅ 正しい。ラクナ梗塞の定義そのものが「穿通枝動脈の閉塞による梗塞体積15mm以下の小梗塞」です。中大脳動脈・前大脳動脈・後大脳動脈から分岐する穿通枝が責任血管です。
4. 多発例では認知症のリスクが高い。
✅ 正しい。複数のラクナ梗塞が脳内に散在する場合(ラクナ性認知症)、白質の障害と相まって認知機能低下が生じます。これは亜急性または慢性の進行性認知症として臨床問題になります。
5. 抗凝固薬が第一選択である。
❌ 誤り。ラクナ梗塞の治療第一選択は抗血小板薬(主にアスピリン)です。抗凝固薬(ワルファリン・DOAC)は、心房細動などの心塞栓症が背景にある場合に限定されます。小血管病を原因とするラクナ梗塞に対して抗凝固薬の有効性は証明されていません。
---
【試験対策ポイント】
脳梗塞のタイプと治療選択
| 梗塞タイプ | 原因血管 | 主要危険因子 | 第一選択薬 |
|---|---|---|---|
| ラクナ梗塞 | 穿通枝(小血管) | 高血圧 | 抗血小板薬 |
| アテローム硬化型 | 大血管 | 脂質異常症・喫煙 | 抗血小板薬 |
| 心原性塞栓 | 心臓由来 | 心房細動・弁膜症 | 抗凝固薬 |
ラクナ梗塞の重要知識
- 日本人に多い脳梗塞タイプ
- 梗塞体積:15mm以下
- 責任血管:穿通枝(脳深部の小血管)
- 危険因子:高血圧(最重要)・糖尿病
- 多発時の合併症:ラクナ性認知症(段階的認知機能低下)
- 治療:抗血小板薬が原則(抗凝固薬ではない)
紛らわしい知識の区別
抗血小板薬 vs 抗凝固薬:小血管型梗塞(ラクナ)→抗血小板薬。心原性梗塞→抗凝固薬。これはST国試で繰り返し出題される基本知識です