STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第15問

臨床神経学第20回
脳の白質が主に障害されるのはどれか。
  1. 1.ピック病
  2. 2.アルツハイマー病
  3. 3.パーキンソン病
  4. 4.ハンチントン舞踏病
  5. 5.多発性硬化症 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 多発性硬化症 多発性硬化症(MS)は中枢神経系の脱髄疾患であり、白質のミエリンが選択的に障害される疾患です。一方、他の4つの疾患は灰白質の神経細胞体が主に障害される変性疾患です。これが本問のポイントです。 --- 【各選択肢の解説】 1. ピック病 ❌ 誤り。前頭葉・側頭葉の灰白質が萎縮する変性疾患です。ピック球(Pick body)という異常タンパク質が神経細胞に蓄積し、神経細胞の脱落が主病変です。白質障害ではありません。 2. アルツハイマー病 ❌ 誤り。大脳皮質全体、特に前頭葉・側頭葉・頭頂葉の灰白質が萎縮する変性疾患です。アミロイドベータとタウタンパクが蓄積して神経細胞変性を引き起こします。白質病変が主ではありません。 3. パーキンソン病 ❌ 誤り。黒質の灰白質にあるドーパミン産生ニューロンが脱落する疾患です。ルイ小体が神経細胞に蓄積し、ドーパミン不足による運動障害が生じます。白質が主に障害されるわけではありません。 4. ハンチントン舞踏病 ❌ 誤り。線条体(尾状核・被殻)の灰白質が選択的に萎縮する遺伝性疾患です。GABAニューロンの喪失が舞踏病的異常運動をもたらします。白質が主病変ではありません。 5. 多発性硬化症 ✅ 正しい。中枢神経の脱髄疾患で、白質のミエリン鞘が免疫学的に障害されます。脳と脊髄の複数部位に炎症性脱髄病変が生じ、MS plaqueと呼ばれます。MRIではT2強調画像で白質に高信号域として描出されます。 --- 【試験対策ポイント】 脳神経変性疾患の主障害部位と主病変の比較 | 疾患 | 主障害部位 | 障害される脳部分 | 主病変 | |---|---|---|---| | ピック病 | 前頭葉・側頭葉 | 灰白質 | ピック球蓄積 | | アルツハイマー病 | 大脳皮質全体 | 灰白質 | アミロイド・タウ蓄積 | | パーキンソン病 | 黒質 | 灰白質 | ルイ小体・DA喪失 | | ハンチントン舞踏病 | 線条体 | 灰白質 | 神経細胞脱落 | | **多発性硬化症** | **脳・脊髄全域** | **白質** | **脱髄・炎症** | 重要な区別: - 多発性硬化症:脱髄疾患(白質病変が主)→進行性ではなく寛解寛解型が典型 - 上記4疾患:神経変性疾患(灰白質・神経細胞体の障害)→進行性 多発性硬化症の臨床的特徴: - 若年成人(20~40歳)の発症が典型 - 視神経炎・脊髄症・脳幹症状で発症することが多い - 寛解寛発型(RRMS)80%:一時的な悪化と改善を繰り返す - MRI:白質に多発性の T2高信号域
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