第20回 言語聴覚士国家試験 第141問
音響学第20回
純音をパワー密度一定の帯域雑音でマスクするとき誤っているのはどれか。
- 1.マスカー雑音のパワーは帯域幅に比例する。
- 2.臨界帯域幅は中心周波数によらず一定となる。 ✓
- 3.マスカー雑音の帯域幅が臨界帯域幅を超えるまではマスキング効果は上昇する。
- 4.マスカー雑音の帯域幅が臨界帯域幅を超えるとマスキング効果の上昇が緩くなる。
- 5.帯域雑音の高域の方が低域よりもマスキング効果が高い。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 臨界帯域幅は中心周波数によらず一定となる
臨界帯域幅は中心周波数に依存し、周波数が高くなるほど臨界帯域幅は広くなります。低周波数では帯域幅は狭く、高周波数では広くなるという周波数依存的な特性を持つため、「一定となる」という記述は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. マスカー雑音のパワーは帯域幅に比例する
✅ 正しい。パワー密度(W/Hz)が一定の帯域雑音において、総パワーは帯域幅(Hz)に比例します。帯域幅が2倍になれば総パワーも2倍になります。
2. 臨界帯域幅は中心周波数によらず一定となる
❌ 誤り。臨界帯域幅は周波数に依存し、周波数が高くなるにつれて広くなります。例えば1kHzでは約100Hz程度ですが、8kHzでは約700Hz程度と大きく異なります。
3. マスカー雑音の帯域幅が臨界帯域幅を超えるまではマスキング効果は上昇する
✅ 正しい。帯域幅が臨界帯域幅以下の場合、帯域幅を増やすとマスキング効果(純音の閾値上昇量)が増加します。これは信号に周波数成分が加わるため。
4. マスカー雑音の帯域幅が臨界帯域幅を超えるとマスキング効果の上昇が緩くなる
✅ 正しい。帯域幅が臨界帯域幅を超えると、さらに帯域幅を増やしてもマスキング効果の上昇は鈍化します。これは聴覚の周波数選択性により、臨界帯域幅外の周波数成分がマスキング効果に寄与しなくなるためです。
5. 帯域雑音の高域の方が低域よりもマスキング効果が高い
✅ 正しい。帯域雑音における周波数下制(downward spread)により、上側周波数のマスキング効果は下側周波数より強く、高域雑音の低周波への影響が大きいという非対称性があります。
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【試験対策ポイント】
臨界帯域幅(Critical Bandwidth)の周波数依存性:
| 周波数 | 臨界帯域幅(目安) |
|---|---|
| 0.25kHz | 約50Hz |
| 1kHz | 約100Hz |
| 4kHz | 約400Hz |
| 8kHz | 約700Hz |
マスキング効果の周波数帯域幅による変化:
帯域幅 < 臨界帯域幅 → マスキング効果は帯域幅に比例して上昇
帯域幅 = 臨界帯域幅 → マスキング効果が最大に近づく
帯域幅 > 臨界帯域幅 → マスキング効果の上昇が飽和・鈍化
キーワード:周波数選択性(frequency selectivity)、臨界帯域幅の周波数依存性、パワー密度一定の計算