第20回 言語聴覚士国家試験 第157問
失語症第20回
交叉性失語について正しいのはどれか。
a.失文法が多い
b.非流暢型失語が多い。
c.言語理解が比較的良好である。
d.観念運動性失行の合併が多い。
e.鏡像型の場合、後方病変でブローカ失語が出現する。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a, b, c
交叉性失語は右利き者の右半球言語優位(稀に両半球言語優位)による失語症で、典型的な左半球失語とは異なるパターンを示します。左半球後方病変で非流暢型失語が生じ、言語理解は相対的に保持される傾向があり、失文法症状が顕著です。一方、失行の合併や鏡像型パターンに関する記述は誤りです。
---
【各選択肢の解説】
a. 失文法が多い
✅ 正しい。交叉性失語では言語理解が比較的保持されるため、表出時の文法障害(失文法)が目立つ傾向にあります。これは典型的な右利き左半球優位の失語症と同様のパターンです。
b. 非流暢型失語が多い
✅ 正しい。交叉性失語は左半球後方病変で生じる場合、Broca失語に相当する非流暢型を呈することが多いです。右半球言語優位であっても左半球の後方領域損傷は音声表出障害につながります。
c. 言語理解が比較的良好である
✅ 正しい。右半球言語優位のため、左半球後方病変であっても理解機能は比較的保持されやすいです。Wernicke失語特有の深刻な理解障害に至らないのが特徴です。
d. 観念運動性失行の合併が多い
❌ 誤り。観念運動性失行は左頭頂葉後部の損傷で生じることが多いですが、交叉性失語の特異的な合併症ではありません。むしろ失語症の種類よりも病変部位に依存する現象です。
e. 鏡像型の場合、後方病変でブローカ失語が出現する
❌ 誤り。鏡像型交叉性失語では、右利き者の右半球がブローカ領域に相当する領域を言語支配している場合、「左」半球後方病変ではブローカ失語ではなくWernicke失語相当が出現します。記述の因果関係が逆です。
---
【試験対策ポイント】
交叉性失語の特徴整理
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| 発症条件 | 右利き者の右半球言語優位(稀)または両半球言語優位 |
| 非流暢性 | 左半球後方病変で非流暢型を呈しやすい |
| 理解能力 | 典型的失語症より保持されやすい |
| 失文法 | 理解が保持される分、構文障害が相対的に目立つ |
| 失行との関係 | 交叉性失語の特異的特徴ではない |
頻出の誤り:
- 「鏡像型=左後方病変でも異なるパターン」と混同しやすい
- 観念運動性失行は失語症の併発というより、病変部位(頭頂葉など)の問題