STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第162問

高次脳機能障害第20回
脳梁膨大部病変によって起こるのはどれか。
  1. 1.左手の失行
  2. 2.左手の失書
  3. 3.左手の触覚性呼称障害
  4. 4.左視野の失読 ✓
  5. 5.右手の構成障害

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 左視野の失読 脳梁膨大部(後部)が損傷されると、右脳の視覚情報が左脳の言語中枢(ブローカ野・ウェルニッケ野)に到達できなくなります。結果として「左視野に提示された文字が読めない」という視野特異的失読が生じます。これは脳梁離断症候群の典型的な症状です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 左手の失行 ❌ 誤り。脳梁膨大部病変では、右手の失行が起こります。左脳(利き手側)のブローカ野周辺損傷により、左手に命令が伝わる脳梁体部の経路が障害され、左手の運動制御情報が損失するためです。 2. 左手の失書 ❌ 誤り。脳梁膨大部後部の損傷では「左視野失読」が特徴的で、左手そのものの失書ではなく、視覚情報処理の問題です。また左手の失書そのものは脳梁膨大部では起こりにくい症状です。 3. 左手の触覚性呼称障害 ❌ 誤り。触覚性呼称障害(物体識別命名障害)は、脳梁体部や膝部の障害で起こります。膨大部(後部)損傷では視覚情報処理障害が主となり、触覚入力の問題ではありません。 4. 左視野の失読 ✅ 正しい。脳梁膨大部(特に後部)が損傷されると、右脳の右視野情報が左脳言語中枢へ伝達できなくなります。その結果、左視野(右脳で処理される領域)に呈示された文字が読めなくなる症状が出現します。 5. 右手の構成障害 ❌ 誤り。構成障害(構成失行)は右脳頭頂葉病変で起こりやすく、脳梁膨大部損傷の直接的症状ではありません。また右手に限定されません。 --- 【試験対策ポイント】 脳梁領域別の症候(脳梁離断症候群) | 脳梁部位 | 主要症状 | 機序 | |---|---|---| | 膝部 | 右手の失行 | 左脳運動野→右脳への情報伝達遮断 | | 体部 | 左手の失行 | 右脳からの運動命令が左脳に伝わらない | | 膨大部(後部) | **左視野失読** | 右脳の右視野情報が左脳言語中枢に到達不可 | | 脾部 | 左手の触覚性呼称障害 | 右脳触覚→左脳言語野への情報遮断 | 重要な否定知識 - 脳梁膨大部損傷は「失書」ではなく「失読」が特徴的 - 「視野」という言葉がキーワード→視覚情報処理の障害を示唆 - 膨大部は「視覚情報」を中継する領域 - 脾部(最も後方)は触覚情報を中継 失読と失書の区別 - 失読:文字を「見ても読めない」(視覚入力障害) - 失書:文字を「書けない」(運動出力障害) - 膨大部→視覚経路なので失読
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