第20回 言語聴覚士国家試験 第163問
高次脳機能障害第20回
注意障害に対する訓練として適切なのはどれか。
- 1.PQRST法
- 2.間隔伸長法
- 3.誤りなし学習
- 4.手がかり漸減法
- 5.視覚末梢訓練 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 視覚末梢訓練
注意障害は視覚的な情報処理能力の低下が関連しているため、視覚末梢訓練(視野拡大訓練)により視覚的注意範囲を広げることが直接的で適切な訓練方法です。一方、他の選択肢は記憶機能や学習方略に関わるもので、注意障害の改善には直接つながりません。
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【各選択肢の解説】
1. PQRST法
❌ 誤り。PQRST法は読解力を高めるための学習戦略で、「Preview(予習)→Question(質問)→Read(読む)→State(述べる)→Test(テスト)」という段階を経て学習効率を上げるものです。記憶や学習の改善には有効ですが、注意障害の改善には不適切です。
2. 間隔伸長法
❌ 誤り。間隔伸長法は記憶保持を促進するための訓練方法で、復習間隔を段階的に長くすることで長期記憶への転換を図ります。記憶障害に対する訓練であり、注意障害には直接的な効果がありません。
3. 誤りなし学習
❌ 誤り。誤りなし学習(errorless learning)は、患者が訓練中に誤りを起こさないようにヒントや手がかりを段階的に減らす方法で、記憶障害や学習困難に対する訓練です。注意障害の改善を目的とした訓練ではありません。
4. 手がかり漸減法
❌ 誤り。手がかり漸減法は記憶機能を促進するための訓練方法で、最初は大きな手がかりを与え、段階的に手がかりを減らしていくアプローチです。記憶障害の改善に用いられ、注意障害には適さないります。
5. 視覚末梢訓練
✅ 正しい。視覚末梢訓練(視野拡大訓練)は、注意障害患者の視覚的注意範囲を拡大し、周辺視での情報処理能力を高める訓練です。特に半側空間無視など注意障害に対して直接的かつ効果的な訓練方法として広く実施されています。
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【試験対策ポイント】
各訓練方法の対象障害と効果:
| 訓練名 | 対象障害 | 改善される機能 |
|---|---|---|
| PQRST法 | 記憶障害・学習困難 | 読解・学習戦略 |
| 間隔伸長法 | 記憶障害 | 長期記憶への転換 |
| 誤りなし学習 | 記憶障害・学習困難 | 新しい情報の習得 |
| 手がかり漸減法 | 記憶障害 | 思い出し機能 |
| 視覚末梢訓練 | 注意障害・半側空間無視 | 視覚的注意範囲 |
重要な区別:
- 記憶系訓練(1~4):いずれも「何かを覚える・思い出す・学ぶ」プロセスの改善
- 注意系訓練(5):「どこに注意を向けるか」という注意配分の改善
半側空間無視への視覚末梢訓練の実施例:
- 中心視での作業中に周辺視での刺激に反応させる
- 視野拡大により見落としを減らす