第20回 言語聴覚士国家試験 第164問
言語発達障害学第20回
自閉症スペクトラム障害の子供への支援について誤っているのはどれか。
- 1.自己効力感の向上を図る。
- 2.集団で同一のプログラムを設定する。 ✓
- 3.日常場面に般化できるような支援を行う。
- 4.見通しを持てるようにスケジュールを視覚的に示す。
- 5.要求などを出しやすい機会を設定する。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 集団で同一のプログラムを設定する。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性には著しい個人差があり、認知スタイル、感覚特性、興味・関心、コミュニケーション能力の多様性が顕著です。標準化された単一プログラムでは、個々のニーズや強みに対応できず、適切な支援効果が期待できません。個別の評価に基づいた個別化された支援計画(IEPC/IEP)の策定が原則です。
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【各選択肢の解説】
1. 自己効力感の向上を図る。
✅ 正しい。自閉症児は失敗経験の蓄積で学習性無力感に陥りやすいため、成功体験を積み重ね、「自分でできた」という感覚を育てることは極めて重要な支援目標です。
2. 集団で同一のプログラムを設定する。
❌ 誤り。ASDは「スペクトラム」と呼ばれるように個人差が大きく、言語能力・感覚過敏性・社会性の程度が全く異なります。集団向けの統一プログラムでは個別ニーズに対応できず、不適応や行動問題を招きます。
3. 日常場面に般化できるような支援を行う。
✅ 正しい。自閉症児は学習した内容が他の場面に転移しにくい「般化の困難性」が特性です。家庭・学校・地域など複数の現実的な文脈で練習することで般化を促進するのは基本的支援戦略です。
4. 見通しを持てるようにスケジュールを視覚的に示す。
✅ 正しい。ASDの不安軽減には予測可能性が必須です。見える化されたスケジュール(視覚的支援)は変化への適応を助け、予期不安や場面転換時の行動問題を減らします。TEACCHプログラムなど根拠のある実践です。
5. 要求などを出しやすい機会を設定する。
✅ 正しい。自閉症児のコミュニケーション発展には、児が要求を発する「機能的必要性」が重要です。動機づけされた状況を作り、自発的な表出機会を増やすことは言語獲得を促進します。
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【試験対策ポイント】
| 概念 | 内容 |
|---|---|
| ASDの個人差 | 言語能力(無言語~定型発話)・感覚特性(過敏/低反応)・知的能力の多様性が著しい |
| 支援の原則 | 「個別化」が必須。集団統一プログラムは不適切 |
| 般化の困難性 | ASDの中核特性。学習内容が他場面に自動転移しないため、複数場面での反復練習が必要 |
| 視覚的支援 | スケジュール表示、構造化された環境、視覚的見通しはASDの強み活用 |
| 自己効力感 | 成功体験累積により学習性無力感を予防 |
| コミュニケーション機会設定 | 発語不全児でも「要求を発する動機」があれば言語発展の足がかりになる |
**キーワード**
ASD = 個人差大(集団統一NG)、般化困難、視覚的支援活用、予測可能性重視