第20回 言語聴覚士国家試験 第166問
言語発達障害学第20回
注意欠陥╱多動性障害で正しいのはどれか。
- 1.成人期まで症状が移行することはない。
- 2.学習障害の併存は少ない。
- 3.幼児期の問題は不注意である。
- 4.実行機能に障害があることが多い。 ✓
- 5.学童期は女児に多い。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 実行機能に障害があることが多い。
ADHD(注意欠陥/多動性障害)では、前頭前皮質の機能低下により、計画・抑制・作業記憶などの実行機能障害が高頻度で認められます。これはADHDの中核的な神経心理学的特徴とされており、学習困難や対人関係の問題につながることが多いです。
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【各選択肢の解説】
1. 成人期まで症状が移行することはない。
❌ 誤り。ADHDの症状の50~80%は成人期まで持続するとされています。特に不注意症状は顕著に残存し、大人のADHDとして診断されるケースは増加しています。
2. 学習障害の併存は少ない。
❌ 誤り。ADHDと学習障害(LD)の併存率は30~50%と比較的高いです。注意散漫や実行機能障害が学習の習得を妨げるため、併存することが珍しくありません。
3. 幼児期の問題は不注意である。
❌ 誤り。幼児期(就学前)の主な問題は「多動性・衝動性」です。不注意の訴えが顕著になるのは学童期以降で、学習場面での集中力不足として表面化します。
4. 実行機能に障害があることが多い。
✅ 正しい。ADHDの中核的な神経心理学的特徴は実行機能障害です。計画立案・時間管理・抑制制御・作業記憶などが低下し、学習や日常生活に直結した困難が生じます。
5. 学童期は女児に多い。
❌ 誤り。学童期のADHD診断率は男児が女児の3~9倍とされています。女児は多動症状が目立たず「不注意型」が多いため、診断されにくい傾向があります。
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【試験対策ポイント】
ADHD診断の年齢別特徴
| 時期 | 主症状 | 診断のしやすさ |
|---|---|---|
| 幼児期(3~6歳) | 多動性・衝動性(落ち着きない) | 診断困難(環境が許容的) |
| 学童期(6~12歳) | 不注意(学習に支障) | 最も診断しやすい |
| 思春期以降 | 多動性は軽減、不注意残存 | 診断困難(大人は対応工夫) |
ADHDの併存障害(高頻度)
- 学習障害(LD):30~50%
- 反抗挑戦性障害(ODD):40~60%
- 不安障害・抑うつ:特に成人女性で高い
男児と女児の診断率の違い
- 男児:多動症状が顕著→診断されやすい
- 女児:不注意型が多い・内向的に見える→過少診断される傾向
実行機能障害の具体例
- 予定を立てられない
- 時間感覚が不正確
- 優先順位がつけられない
- 衝動的な発言・行動