第20回 言語聴覚士国家試験 第172問
言語発達障害学第20回
1歳6か月健康診査の事後指導として、ことばの理解ができない子供のグループ指導を実施する際に適切でない課題はどれか。
- 1.拍手、バンザイの身振りをまねさせる。
- 2.おやつを食べ終わったら皿をトレイの上に置かせる。
- 3.「リンゴとって」と言って複数の果物のカードから選ばせる。 ✓
- 4.脱いだ靴を手に持たせ、靴箱にしまわせる。
- 5.大人が「ちょうだい」と言って手を差し出しているところに持っているものを渡させる。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 「リンゴとって」と言って複数の果物のカードから選ばせる。
ことばの理解ができない子どもへの指導では、「理解を促す課題」ではなく「非言語的な手がかりで行動できる課題」を選択すべきです。選択肢3は、視覚的手がかり(複数のカード)に頼る課題であり、言語理解そのものを必要とするため、言語理解がない子どもには適切ではありません。一方、他の選択肢は身振りや文脈・非言語的手がかりで実行可能です。
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【各選択肢の解説】
1. 拍手、バンザイの身振りをまねさせる。
✅ 正しい。身振りの模倣は言語理解を必要としない非言語的課題です。視覚的に大人の動作を模倣することで、実行機能や模倣能力を高めるのに適しています。
2. おやつを食べ終わったら皿をトレイの上に置かせる。
✅ 正しい。一連の生活動作の文脈の中で、「食べ終わった後」という状況的な手がかりで実行できます。言語指示に頼らない環境設定による指導です。
3. 「リンゴとって」と言って複数の果物のカードから選ばせる。
❌ 不適切。この課題は「『リンゴとって』という言語指示を理解し、複数の選択肢から正答を同定する」という言語理解そのものを要求しています。言語理解ができない子どもには困難で、指導の目的(非言語的手がかりで行動を引き出す)に適合していません。
4. 脱いだ靴を手に持たせ、靴箱にしまわせる。
✅ 正しい。生活場面での習慣化された動作であり、大人の身振りや環境的文脈で実行できます。言語理解ではなく、行動連鎖の習慣形成に適しています。
5. 大人が「ちょうだい」と言って手を差し出しているところに持っているものを渡させる。
✅ 正しい。大人の身振り(手を差し出す)と顔の向き、身体の位置など非言語的手がかりが十分であり、言語指示そのものの理解がなくても実行可能です。
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【試験対策ポイント】
言語理解ができない子どもへの指導の基本原則:
| 適切な課題 | 不適切な課題 |
|---|---|
| 身振り・動作の模倣 | 言語指示そのものの理解を要求 |
| 生活文脈・状況的手がかり | 複数選択肢からの言語的同定 |
| 非言語的な環境設定 | 「〇〇をとって」などの言語指令 |
| 習慣化された動作の繰り返し | 新規の言語指示への対応 |
重要な否定知識:
- 言語理解ができない時点で「言語指示→選択」という課題は目的に適合しない
- カード選択は視覚的同定タスク→言語理解とは異なる認知処理
- グループ指導で言語理解がない場合は「共通の非言語的手がかり」を工夫する必要がある
1歳6ヶ月時点での言語発達目安:
- 語彙50語程度が目安
- 理解語彙は表出語彙より先行
- 「理解ができない」=指導開始時点での出発点(まず非言語的アプローチから)