第20回 言語聴覚士国家試験 第173問
言語発達障害学第20回
注意欠陥╱多動性障害の小学校高学年の学童に対する支援を計画した。誤っているのはどれか。
- 1.応用行動分析の理論に基づいて支援法を計画する。
- 2.ソーシャルスキルの学習を取り入れる。
- 3.行動支援より学習支援を優先する。 ✓
- 4.出来たことに対して、ほめことばを与える。
- 5.同じ悩みを持つ親同士が話し合える場を作る。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 行動支援より学習支援を優先する。
ADHD児への支援は「行動支援」と「学習支援」が並行して実施される必要があります。むしろ注意散漫や多動が学習を阻害しているため、行動コントロールを優先するのが原則です。学習支援だけでは、根本的な注意・衝動制御の困難が改善されず、学習効果も上がりません。
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【各選択肢の解説】
1. 応用行動分析の理論に基づいて支援法を計画する。
✅ 正しい。ADHD児への支援では、行動の先行条件(Antecedent)・行動(Behavior)・結果(Consequence)のABC分析が標準的です。強化や消去などの原理に基づいて支援計画を立てることが推奨されています。
2. ソーシャルスキルの学習を取り入れる。
✅ 正しい。ADHD児は衝動性や注意散漫により、対人スキル(順番待ち・友人との協調など)の習得が遅れることが多いです。SST(社会性スキルトレーニング)は言語聴覚士も行う重要な介入です。
3. 行動支援より学習支援を優先する。
❌ 誤り。ADHD児は「行動問題」が学習を妨げているため、まずは落ち着き・注意集中を改善する行動支援(環境調整・報酬システム等)を軸に実施します。その上で学習支援を組み込む「並行的・段階的」アプローチが正しいです。
4. 出来たことに対して、ほめことばを与える。
✅ 正しい。正の強化(ほめ・報酬)は応用行動分析の最も有効な手法です。ADHD児は特に即時的・具体的なフィードバックに反応しやすく、望ましい行動を増やすために欠かせません。
5. 同じ悩みを持つ親同士が話し合える場を作る。
✅ 正しい。親のストレス軽減と養育スキルの向上は、家庭での一貫した支援に直結します。ペアレント・トレーニングと親の相互支援は、ADHD児支援の重要な柱です。
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【試験対策ポイント】
| 支援の柱 | 内容 | ST関連度 |
|---|---|---|
| 行動支援 | 環境調整・報酬制・タイムアウト | 高(優先) |
| 学習支援 | 個別指導・教材工夫 | 高(並行) |
| SST | 対人スキル・コミュニケーション | 高(ST専門) |
| 親支援 | ペアレント・トレーニング | 高 |
| 医学的管理 | 薬物療法(医師) | 補助的 |
キーワード:
・「行動問題が学習の前提条件」→行動支援は並行的に、または優先度が同等
・ABC分析:先行条件の工夫(座席変更など)から始まる
・正の強化の即時性:1秒以内が目安
・「学習支援優先」は誤解しやすい陥穽(学習困難の原因は行動問題にあるため)