第20回 言語聴覚士国家試験 第176問
機能性構音障害第20回
構音訓練における漸時接近法はどれか。
- 1.指折りさせながら発音させる
- 2.構音可能な音から目標音に近づけていく ✓
- 3.正しい構音位置や操作を教示して目標音を導く
- 4.正しい聴覚的・視覚的刺激を与えて目標音を模倣させる
- 5.目標音が産生できる語を探り、それを活用して目標音を導く
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 構音可能な音から目標音に近づけていく
漸時接近法(successive approximation)は、患者が既に産生できる音から段階的に音の特性を変えていき、目標音に近づけていく訓練方法です。既存の構音能力をベースに「少しずつ改善する」という段階的アプローチが特徴であり、機能性構音障害の訓練で最も一般的に用いられます。
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【各選択肢の解説】
1. 指折りさせながら発音させる
❌ 誤り。これは「補助運動を用いた訓練法」であり、漸時接近法ではありません。補助運動(指の動き、手話的な動作など)を付加して構音を促進する方法です。
2. 構音可能な音から目標音に近づけていく
✅ 正しい。これが漸時接近法の定義です。既に正しく産生できる音を出発点として、舌位や息流の強さなどを段階的に変えることで目標音に接近させます。
3. 正しい構音位置や操作を教示して目標音を導く
❌ 誤り。これは「説示法(instruction method)」です。音韻学的な知識や視覚的な手がかり(口腔図など)を用いて、正しい構音位置を直接的に教える方法であり、段階的接近ではありません。
4. 正しい聴覚的・視覚的刺激を与えて目標音を模倣させる
❌ 誤り。これは「聴覚法(auditory method)」または「模倣法(imitation method)」です。標的音の良好な聴覚刺激と視覚刺激(口腔の見本)を提示して、患者に模倣させる方法です。
5. 目標音が産生できる語を探り、それを活用して目標音を導く
❌ 誤り。これは「語音法」または「変動法」に該当します。目標音が既に含まれている語彙を探し、その文脈の中で目標音の使用を強化する方法です。
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【試験対策ポイント】
構音訓練の主要5方法(比較表):
| 方法名 | 特徴 | 出発点 |
|---|---|---|
| 漸時接近法 | 構音可能な音から段階的に目標音に接近 | 既存可能音 |
| 説示法 | 構音位置・操作を言語的に教示 | 解剖学的知識 |
| 聴覚法/模倣法 | 良好な聴覚・視覚刺激で模倣させる | 標的音の見本提示 |
| 語音法/変動法 | 目標音を含む語彙の中で強化 | 自動産生可能語 |
| 補助運動法 | 指折りなど補助動作を付加 | 補助運動との組み合わせ |
重要な区別:
- 「段階的」=漸時接近法
- 「教示」「説明」=説示法
- 「聴かせる」「見せる」=聴覚法/模倣法
- 「語の中で」「文脈」=語音法