第20回 言語聴覚士国家試験 第182問
運動障害性構音障害第20回
鼻咽腔閉鎖不全の訓練に用いるのはどれか。
a.ハミング
b.タッピング
c.ハフィング
d.[s]の持続発声
e.軟口蓋の挙上介助
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d.[s]の持続発声、e.軟口蓋の挙上介助
鼻咽腔閉鎖不全による開鼻声(nasal voice)を改善するには、軟口蓋の挙上機能を直接強化する訓練が有効です。[s]の持続発声は口腔圧を要求する音であり、鼻腔への逆流を自覚させ修正する訓練となります。軟口蓋の挙上介助は直接的な機能改善を促進します。
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【各選択肢の解説】
a.ハミング
❌ 誤り。ハミングは意図的に鼻音化する発声であり、鼻咽腔閉鎖不全の訓練には不適切です。むしろ鼻音が強調される可能性があるため、治療的価値がありません。
b.タッピング
❌ 誤り。タッピングは軟口蓋を叩いて知覚を高める方法ですが、鼻咽腔閉鎖不全の根本的な筋力強化には直結しません。この訓練単独では効果的ではないとされています。
c.ハフィング
❌ 誤り。ハフィングは呼吸訓練(腹式呼吸の補助)であり、咳払いのような動作を行いますが、軟口蓋の挙上機能を高める訓練ではなく、鼻咽腔閉鎖不全に対して直接的な治療効果がありません。
d.[s]の持続発声
✅ 正しい。[s]は子音で強い口腔圧が必要な無声音です。鼻咽腔が十分に閉鎖されていないと鼻腔に逆流し、[n]のような鼻音化が生じます。この発声を反復することで、閉鎖不全を自覚させ、軟口蓋の挙上を促進できます。
e.軟口蓋の挙上介助
✅ 正しい。言語聴覚士が患者の軟口蓋を直接挙上介助することで、正常な閉鎖位置を感覚的に学習させます。この固有受容覚フィードバックは、軟口蓋運動筋(咽頭挙筋など)の再学習に最も直接的です。
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【試験対策ポイント】
鼻咽腔閉鎖不全の訓練判別表
| 訓練方法 | 対象機能 | 有効性 |
|---|---|---|
| [s]持続発声 | 口腔圧維持+閉鎖自覚 | ✅ 有効 |
| 軟口蓋挙上介助 | 直接的筋力強化 | ✅ 有効 |
| ハミング | 意図的鼻音化 | ❌ 無効(逆効果) |
| タッピング | 知覚促通 | ❌ 間接的 |
| ハフィング | 呼吸訓練 | ❌ 無関連 |
頻出誤解:「軟口蓋をたたく(タッピング)は訓練になるのでは?」
→ 知覚は高まるが、筋力強化・閉鎖機能改善には不十分とされています。
重要な否定知識:「舌尖挙上訓練」は鼻腔への逆流防止に無効です。