第20回 言語聴覚士国家試験 第185問
嚥下障害第20回
嚥下造影検査の方が嚥下内視鏡検査より有用度が高い評価項目はどれか。
a.声門閉鎖
b.喉頭挙上
c.食道入口部開大
d.梨状陥凹の唾液残留
e.咽頭・喉頭粘膜の感覚
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
嚥下造影検査(VF)は動的な運動情報に優れ、嚥下内視鏡検査(VE)は静止画や粘膜の詳細な観察に優れています。喉頭挙上と食道入口部開大は、嚥下時の動的な骨格筋運動であり、X線透視下で動態を把握するVFが優れています。一方、感覚検査や唾液残留の観察はVEが有用です。
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【各選択肢の解説】
a. 声門閉鎖
❌ 誤り。声門閉鎖はVEで直視できるため、VEの方が有用です。嚥下時の声門の開閉を内視鏡で直接観察することで、吸引性肺炎リスク評価が可能になります。
b. 喉頭挙上
✅ 正しい。喉頭挙上は咽頭期の動的現象であり、VFで正側面から観察することで、喉頭の上方移動の程度や不完全な挙上を評価できます。VEではホワイトアウト現象のため評価困難です。
c. 食道入口部開大
✅ 正しい。食道入口部(Cricopharyngeal Port:CP)の開大は咽頭期における動的な開口運動であり、VFの透視画像では輪状咽頭筋の弛緩と同期した開大をX線で明確に捉えられます。VEでは観察困難です。
d. 梨状陥凹の唾液残留
❌ 誤り。梨状陥凹の唾液残留や食物残留の観察はVEの方が優れています。VEで内視鏡を挿入後、直視下に梨状陥凹を観察・吸引することが可能です。
e. 咽頭・喉頭粘膜の感覚
❌ 誤り。咽頭・喉頭粘膜の感覚評価(咽頭反射、喉頭侵入反応など)はVEで可能です。VEのスコープを用いて直接粘膜に刺激を加え、反応を評価できます。
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【試験対策ポイント】
VFとVEの特性の違い:
| 評価項目 | VF(嚥下造影) | VE(嚥下内視鏡) |
|---|---|---|
| 喉頭挙上 | ◎ 正側面で動態把握 | ✗ ホワイトアウトで評価困難 |
| 食道入口部開大 | ◎ CP部の動的開口観察 | ✗ 直接観察困難 |
| 声門閉鎖 | ○ 画像上から推測 | ◎ 直視可能 |
| 唾液残留(梨状陥凹) | △ 画像上では判定困難 | ◎ 直視・吸引可能 |
| 粘膜感覚 | ✗ 評価不可 | ◎ 直接刺激で反応観察 |
| 嚥下反射 | △ 間接的 | ◎ ホワイトアウト前後で観察 |
重要知識:
- VFはX線透視により「動き」を捉える検査→骨格筋運動評価に最適
- VEはリアルタイム画像観察→粘膜・分泌物評価に最適
- VEでの「ホワイトアウト現象」は嚥下反射時に喉頭が上がり内視鏡視野が見えなくなる現象で、CP部開大などの咽頭期深部運動は評価不可能
- CP部の弛緩・開大の評価はVFの重要な役割