第20回 言語聴覚士国家試験 第186問
嚥下障害第20回
嚥下障害の治療・対応について誤っている組合せはどれか。
- 1.バルーン拡張法 ― 鼻咽腔閉鎖の強化 ✓
- 2.冷圧刺激 ― 嚥下反射の惹起
- 3.息止め嚥下 ― 喉頭閉鎖の強化
- 4.頚部回旋位 ― 食塊の健側咽頭への誘導
- 5.リクライニング ― 重力による食塊移送
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — バルーン拡張法 — 鼻咽腔閉鎖の強化
バルーン拡張法は食道入口部(咽頭食道移行部)の通過障害に対する治療法であり、鼻咽腔閉鎖機能の強化には用いられません。鼻咽腔閉鎖の強化が必要な場合(開鼻声・鼻腔逆流)には、軟口蓋訓練やメメ音発声訓練などが適切です。
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【各選択肢の解説】
1. バルーン拡張法 — 鼻咽腔閉鎖の強化
❌ 誤り。バルーン拡張法は食道入口部の狭窄に対する機械的拡張治療であり、鼻咽腔閉鎖強化には無関係です。鼻咽腔閉鎖障害の訓練には軟口蓋挙上訓練が適切です。
2. 冷圧刺激 — 嚥下反射の惹起
✅ 正しい。冷たい刺激(冷たいスプーン)や触圧刺激を咽頭前壁に加えることで、嚥下反射の閾値を低下させ、反射の誘発を促進します。反射性嚥下が減弱している症例に有効です。
3. 息止め嚥下 — 喉頭閉鎖の強化
✅ 正しい。嚥下時に息を止めることで声帯が内転し、喉頭が閉鎖します。声門下閉鎖が不十分な患者の誤嚥防止に効果的です。
4. 頚部回旋位 — 食塊の健側咽頭への誘導
✅ 正しい。患側と反対方向に頭頸部を回旋させることで、舌骨が患側に引かれ、食塊は健側咽頭へ誘導されます。一側咽頭麻痺時の代償戦略として標準的です。
5. リクライニング — 重力による食塊移送
✅ 正しい。身体を後傾させることで重力の効果が増大し、食塊の口腔から咽頭への移送および食道への通過が容易になります。嚥下機能が低下した患者に適用されます。
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【試験対策ポイント】
嚥下障害の主要な代償戦略・強化法:
| 方法 | 目的 | 対象障害 | 機序 |
|---|---|---|---|
| 冷圧刺激 | 反射惹起 | 反射減弱 | 求心性入力↑ |
| 息止め嚥下 | 喉頭閉鎖強化 | 声門下閉鎖不全 | 声帯内転 |
| 頚部回旋位 | 食塊健側誘導 | 一側咽頭麻痺 | 舌骨移動 |
| リクライニング | 重力利用 | 全般的移送障害 | 重力効果↑ |
| バルーン拡張 | 食道入口部拡張 | 食道入口部狭窄 | 機械的通過改善 |
| 軟口蓋訓練 | 鼻咽腔閉鎖強化 | 開鼻声・鼻腔逆流 | 軟口蓋挙上力↑ |
鼻咽腔閉鎖機能に関係する訓練(必出):
- メメ音発声訓練(軟口蓋挙上促進)
- 軟口蓋挙上訓練
- バルーン拡張法は関係なし