STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第19問

呼吸系第20回
正しいのはどれか。 a.最長発声持続時間(MPT)の測定は3回実施して最大値を採用する b.発声時平均呼気流率と呼気圧の積は声門抵抗を反映する c.両唇破裂音の破裂の直前の口腔内圧は大気圧より低い d.持続母音発声時の声門上圧は声門下圧と等しい e.口唇の突出は声道長を延長する 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,e 最長発声持続時間(MPT)は3回測定して最大値を採用するという信頼性の高い測定原則があり、口唇突出は声道を物理的に延長させ共鳴特性に影響します。これら2つが正しい知識です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 最長発声持続時間(MPT)の測定は3回実施して最大値を採用する ✅ 正しい。MPT測定の標準プロトコルは「最低3回測定し、その中で最も長い値を採用する」とされています。これにより被験者の最大能力を反映させ、個別の試行における変動を排除します。 b. 発声時平均呼気流率と呼気圧の積は声門抵抗を反映する ❌ 誤り。声門抵抗を求める式は「呼気圧÷平均呼気流率」(除算)です。積(掛け算)ではなく商(割り算)が声門抵抗を反映します。これは声の効率性を評価する重要な指標であり、頻出の紛らわしい項目です。 c. 両唇破裂音の破裂の直前の口腔内圧は大気圧より低い ❌ 誤り。両唇破裂音([p],[b])の破裂直前は、肺からの呼気によって口腔内圧が大気圧より「高い」状態です。この圧力が高まることで、両唇間の閉鎖が解放され破裂音が生じます。 d. 持続母音発声時の声門上圧は声門下圧と等しい ❌ 誤り。持続母音発声時、声門下圧(肺からの呼気圧)が声門上圧(咽頭腔の圧)より高く、この圧力勾配が声帯振動を駆動します。両者が等しくなると振動が停止するため、発声継続には差があることが必須です。 e. 口唇の突出は声道長を延長する ✅ 正しい。口唇を突出させると、声道の開口部から唇先端までの距離が増加し、有効な声道長が延長されます。これは第一共鳴ピーク(F1)の低下につながり、音響特性に影響します。 --- 【試験対策ポイント】 声門抵抗の計算式(頻出の誤り) | 項目 | 式 | 単位 | |---|---|---| | 声門抵抗 | 呼気圧 ÷ 平均呼気流率 | cmH₂O/(L/sec) | | 音声パワー | 呼気圧 × 平均呼気流率 | 複合単位 | MPT測定のポイント - 実施回数:最低3回(通常3~5回) - 採用値:その中の「最大値」 - 残気量:MPTへの直接的な寄与なし(よくある誤解) - 正常値:男性20~30秒、女性15~25秒 音響的特性の変化 口唇突出時の変化:声道長↑ → F1低下 → 音響中心周波数↓ 口唇圧縮時の変化:声道長↓ → F1上昇 圧力関係の基本(発声時) 肺圧 > 声門下圧 > 声門上圧 > 大気圧 ※破裂音生成時は閉鎖部分の口腔内圧が大気圧を上回る
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