STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第192問

小児聴覚障害第20回
聴覚障害児のコミュニケーション法について誤っている組合せはどれか。
  1. 1.聴覚口話法 ― 聴覚・音声・読話を併用する。
  2. 2.聴覚音声法 ― 音声聴取によって聴覚を最大限に活用する。
  3. 3.キュードスピーチ法 ― 子音は手の形で、母音は口形で示す。
  4. 4.トータルコミュニケーション法 ― 児に適切なあらゆる方法を用いる。
  5. 5.バイリンガル法 ― 日本語対応手話を導入し、第二言語に日本語を導入する ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — バイリンガル法 — 日本語対応手話を導入し、第二言語に日本語を導入する バイリンガル法は「日本手話を第一言語、日本語を第二言語として習得させる方法」です。選択肢5は「日本語対応手話」と述べている点が誤りで、正確には「日本手話(自然言語としての手話)」を第一言語とします。日本語対応手話は日本語の文法に従った人工的な手話体系であり、バイリンガル・バイカルチュラル・アプローチの対象ではありません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 聴覚口話法 — 聴覚・音声・読話を併用する。 ✅ 正しい。聴覚口話法は補聴器などで聴覚を活用しながら、音声言語の習得と読話を組み合わせた方法です。児童の残存聴力を最大限に活用する特徴があります。 2. 聴覚音声法 — 音声聴取によって聴覚を最大限に活用する。 ✅ 正しい。聴覚音声法(言語聴覚的方法とも言う)は音声聴取に焦点を当て、補聴器の適切な装用を前提として聴覚を活用する方法です。 3. キュードスピーチ法 — 子音は手の形で、母音は口形で示す。 ✅ 正しい。キュードスピーチは手の形(12種類)で子音を、手の位置(8か所)で母音を示し、読話と併用して音韻弁別を補助するシステムです。 4. トータルコミュニケーション法 — 児に適切なあらゆる方法を用いる。 ✅ 正しい。トータルコミュニケーション法は口話・手話・補助具・図表など、児童の発達段階と特性に応じてすべての利用可能な方法を組み合わせる包括的アプローチです。 5. バイリンガル法 — 日本語対応手話を導入し、第二言語に日本語を導入する ❌ 誤り。バイリンガル・バイカルチュラル・アプローチの正式な内容は「日本手話を第一言語、日本語を第二言語として習得させる」です。「日本語対応手話」は人工的な手話体系であり、自然言語である「日本手話」とは異なります。 --- 【試験対策ポイント】 コミュニケーション法の対比表: | 方法 | 聴覚の活用 | 手話の使用 | 口話 | 特徴 | |---|---|---|---|---| | 聴覚口話法 | 主体的 | × | ✅ | 残存聴力最大活用 | | 聴覚音声法 | 最大限 | × | ✅ | 補聴器前提 | | キュードスピーチ | 補助的 | × | ✅ | 手と口形で子音・母音示す | | トータル法 | 自由 | ✅ | ✅ | あらゆる方法を組み合わせ | | バイリンガル法 | 自由 | ✅(日本手話) | ✅ | 2言語習得アプローチ | 重要な区別: 日本手話 vs 日本語対応手話 - 日本手話:ろう者の自然言語、独自の文法体系、バイリンガル法の第一言語 - 日本語対応手話:日本語の文法に基づいた人工的な体系、聴児や聴者向け バイリンガル法のキーワード: - 第一言語=日本手話(自然言語) - 第二言語=日本語(音声言語・文字言語) - バイカルチュラル=ろう文化と聴文
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