第20回 言語聴覚士国家試験 第193問
成人聴覚障害第20回
内耳性難聴で誤っているのはどれか。
- 1.音が歪んで聞こえる。
- 2.音圧の小さな変化が分かる。
- 3.ABRで反応閾値付近ではI波潜時が延長する。
- 4.聞こえる音圧の幅が狭い。
- 5.自記オージオメトリでjergerIII型を示す。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 自記オージオメトリでjerger III型を示す。
内耳性難聴の特徴は感音性難聴であり、自記オージオメトリではjunger I型(上昇型)を示します。Jerger III型(谷型)は伝音性難聴の特徴的なパターンであり、内耳性難聴では見られません。内耳性難聴の他の特徴である音の歪み、小音圧変化の知覚、ABRの反応閾値での潜時延長、限定的な聞こえ幅(リクルートメント現象)は全て正しい所見です。
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【各選択肢の解説】
1. 音が歪んで聞こえる。
✅ 正しい。内耳性難聴では蝸牛の有毛細胞障害により、周波数選別能が低下し、歪み感(ディストーション)が生じます。これはCochlear Distortionと呼ばれます。
2. 音圧の小さな変化が分かる。
✅ 正しい。内耳性難聴ではリクルートメント現象により、小さな音圧変化に対する弁別能が健聴者と同等かそれ以上になります。これは有毛細胞障害により動的範囲が狭くなった結果です。
3. ABRで反応閾値付近ではI波潜時が延長する。
✅ 正しい。内耳性難聴では反応閾値付近で音響刺激が不十分なため、蝸牛神経の発火数が少なくなり、I波(蝸牛神経活動)の潜時が延長します。閾値上では比較的正常に戻ります。
4. 聞こえる音圧の幅が狭い。
✅ 正しい。内耳性難聴ではリクルートメント現象により、聴力域(検出可能な音圧範囲)が狭くなります。一定レベルに達すると急に聞こえるようになり、音圧動的範囲が制限されます。
5. 自記オージオメトリでjerger III型を示す。
❌ 誤り。Jerger III型(谷型)は中頻度で上昇、低・高周波で低下するパターンで、伝音性難聴の典型的なパターンです。内耳性難聴はjunger I型(右肩上がり)を示します。
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【試験対策ポイント】
自記オージオメトリのJergerパターン分類
| パターン | 型 | 特徴 | 疾患 |
|---|---|---|---|
| Type I | 右肩上がり | 低周波低下、高周波改善 | 内耳性難聴(感音性) |
| Type II | 右肩下がり | 低周波改善、高周波悪化 | 伝音性難聴 |
| Type III | 谷型 | 低・高周波低下、中周波良好 | 伝音性難聴(特に耳硬化症) |
| Type IV | 高周波低下 | 高周波のみ低下 | 内耳性難聴・騒音性難聴 |
| Type V | U字型 | Type IIIより極端 | 伝音性難聴 |
内耳性難聴の重要特徴3点セット
- リクルートメント現象:小さな音圧変化が著しく知覚される
- 音の歪み(Cochlear Distortion):周波数分析能の低下
- 自記オージオメトリ:Type I型(感音性難聴の典型)
ABRにおけるI波延長の理由
- 反応閾値付近:神経活動の同期性が低下→潜時延長
- 閾値上:十分な神経発火→潜時改善