第20回 言語聴覚士国家試験 第194問
成人聴覚障害第20回
加齢性難聴について誤っているのはどれか。
- 1.一側性難聴が多い。 ✓
- 2.構音は保たれる。
- 3.本人と家族との難聴の認識にずれが生じる。
- 4.聴力像は高音漸傾型が多い。
- 5.徐々に難聴が進行する。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 一側性難聴が多い。
加齢性難聴は両側対称性の難聴です。加齢に伴い両耳の聴覚器官が同程度に衰退するため、基本的に両耳同程度の対称的な難聴を示します。一側性難聴は加齢性難聴の特徴ではなく、むしろ腫瘍や外傷などの局所的な病変を示唆する所見です。
---
【各選択肢の解説】
1. 一側性難聴が多い。
❌ 誤り。加齢性難聴は両側対称性難聴が特徴です。加齢により両耳の内耳の毛細胞が同程度に衰退するため、両耳がほぼ同じ程度で聴力低下します。一側性難聴は局所的病変(聴神経腫瘍・外傷・感染など)を示唆するため、加齢性難聴とは異なります。
2. 構音は保たれる。
✅ 正しい。加齢性難聴は感音難聴であり、聴覚の衰退のみで構音器官(口唇・舌・咽頭など)の機能障害はありません。したがって構音能力は保たれ、問題となるのは「きこえ」です。
3. 本人と家族との難聴の認識にずれが生じる。
✅ 正しい。加齢性難聴は徐々に進行するため、本人が自覚しないうちに周囲は聞き返しの増加に気づきます。また、本人が「年のせい」と認識過小評価する傾向があり、家族の「もう病院に行くべき」という認識とのずれが生じやすいです。
4. 聴力像は高音漸傾型が多い。
✅ 正しい。加齢性難聴は典型的に「高音漸傾型」(高周波数ほど聴力低下が強い)を示します。内耳のコルチ器官の基部(高周波数領域を担当)から加齢変化が進むため、高周波数領域の聴力低下が顕著です。
5. 徐々に難聴が進行する。
✅ 正しい。加齢性難聴は進行性です。数十年単位でゆっくり進行するのが特徴であり、急性感音難聴などのように急激に悪化することはありません。
---
【試験対策ポイント】
加齢性難聴の5つの特徴(これらはほぼすべての国試問題で問われる)
| 特 徴 | 説 明 |
|---|---|
| 両側対称性 | 一側性ではなく両耳ほぼ同程度(重要!) |
| 高音漸傾型 | 低音は保たれ、高周波数ほど聴力低下 |
| 進行性 | 年単位でゆっくり進行 |
| 蝸牛性(感音難聴) | 構音は保たれる |
| 本人の自覚が遅れやすい | 家族が先に気づくことが多い |
加齢性難聴と一側性難聴の鑑別
| 項目 | 加齢性難聴 | 一側性難聴(腫瘍など) |
|---|---|---|
| 発症様式 | 両側同時に徐々に進行 | 一側が急または亜急性 |
| 聴力パターン | 高音漸傾型 | 部位により異なる |
| 検査所見 | 両耳対称 | 一側異常 |
| 日常生活への影響 | 段階的 | 左右差により不均衡感 |
頻出の誤りやすいポイント
- 「加齢性難聴=一側性」と混同する受験生が多い
- 加齢性難聴は「構音は正常」であることをしっかり