第20回 言語聴覚士国家試験 第196問
成人聴覚障害第20回
成人聴覚障害者への支援の目的と方針との組合せで適切でないのはどれか。
- 1.職場での環境調整 ― 人工内耳の装用 ✓
- 2.騒音下での聴取能改善 ― 補聴支援機器の使用
- 3.会話の理解 ― コミュニケーション方略の指導
- 4.講演会での聞き取り ― 着座位置の配慮
- 5.読話の理解 ― 照明の改善
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 職場での環境調整 ― 人工内耳の装用
職場での環境調整は、騒音低減やコミュニケーション工具(字幕表示等)の導入など、物理的・社会的な環境を変更する支援を意味します。一方、人工内耳の装用は医学的介入(患者個人の機器選択)であり、環境調整とは異なる支援方針です。この問題では「支援の目的」と「その達成のための具体的方針」の対応を問っており、目的と方針が一致していない選択肢を選ぶ必要があります。
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【各選択肢の解説】
1. 職場での環境調整 ― 人工内耳の装用
❌ 誤り。「環境調整」は職場のハード面・ソフト面の修正を指しますが、「人工内耳装用」は患者個人の医学的介入であり、環境を変えるものではありません。環境調整の方針であれば「ワイヤレスマイク導入」「背景騒音低減」「字幕表示」などが適切です。
2. 騒音下での聴取能改善 ― 補聴支援機器の使用
✅ 正しい。ノイズキャンセリング機能やワイヤレスマイクなど、補聴支援機器(ハードウェア)を活用することで、騒音下での聴取能を直接改善できます。
3. 会話の理解 ― コミュニケーション方略の指導
✅ 正しい。読話・口形確認・聞き返しのタイミング・筆談の活用など、個人のコミュニケーション方略を習得することで会話理解が向上します。
4. 講演会での聞き取り ― 着座位置の配慮
✅ 正しい。話者に近い座席・見やすい角度(読話も併用可)の位置に着座することは、講演会での聴覚入力を最適化する環境調整です。
5. 読話の理解 ― 照明の改善
✅ 正しい。読話は話者の口形・表情を視覚的に捉える必要があるため、照明を改善して可視性を高めることで読話理解が向上します。
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【試験対策ポイント】
成人聴覚障害者への支援方法の分類
| 支援区分 | 具体例 | 目的 |
|---|---|---|
| 環境調整 | 座席配置、背景騒音低減、字幕・手話通訳の配置 | 聴覚環境そのものを変更 |
| 機器支援 | 補聴器、人工内耳、ワイヤレスマイク、FM補聴システム | 聴覚信号を増幅・処理 |
| 方略支援 | コミュニケーション方略、読話、聞き返し指導 | 本人の工夫で理解促進 |
重要な区別:「人工内耳装用」は
- 医学的介入(医師による手術)
- 個人の聴覚機能改善を狙う
- 環境調整ではなく、患者個人の身体改変
頻出パターン
- 騒音環境では「支援機器」で対応
- 大人数・講演会では「着座位置調整」など環境配慮
- 読話が必要な場面では「視覚環境(照明)」を整備
- 会話理解全般には「コミュニケーション方略の習得」が根本的支援