STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第198問

補聴器・人工内耳第20回
入力音圧60dBSPLと90dBSPLとで2cm3カプラを用いて測定した補聴器特性(図)について正しいのはどれか。【別図あり】
  1. 1.3,000Hzにピークが生じるのは、ヒトの可聴閾値がこの付近で最も低いことによる。
  2. 2.Aの周波数レスポンス曲線から測定時の設定におけるこの補聴器の最大利得を計算できる。
  3. 3.Bの周波数レスポンス曲線の1,000Hzの利得は約78dBである。
  4. 4.高音漸傾型難聴に適合しない調整である。
  5. 5.2,000HzにおけるAの利得とBの利得との差は10dBである。 ✓
第20回第198問 図

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 2,000HzにおけるAの利得とBの利得との差は10dBである。 入力音圧60dBSPL(曲線A)と90dBSPL(曲線B)で測定した補聴器特性の問題です。同一の周波数において、入力音圧が30dB異なると、出力もほぼ30dB異なることが補聴器の線形性の基本です。しかし選択肢5は「利得の差が10dB」と述べており、これは非線形特性(圧縮機能)の存在を示唆しています。圧縮により、入力音圧が大きいほど利得が小さくなる特性が生じ、その差が10dBとなることが正答です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 3,000Hzにピークが生じるのは、ヒトの可聴閾値がこの付近で最も低いことによる。 ❌ 誤り。補聴器のピークが3,000Hz付近にあるのは、難聴者の聴力特性や補聴器のフィッティングに基づいているのであり、健常者の可聴閾値の低さとは直接関係がありません。むしろ、難聴者の周波数別聴力低下パターン(典型的に高音域で低下)に対する補償として設定されたものです。 2. Aの周波数レスポンス曲線から測定時の設定におけるこの補聴器の最大利得を計算できる。 ❌ 誤り。2cm³カプラを用いた測定では「カプラ利得」が得られます。これはヒトの耳のイヤホン部における音圧特性を示していますが、実耳での利得(実耳利得)を直接求めることはできません。実耳利得を算出するには、より複雑な計算や実測が必要です。 3. Bの周波数レスポンス曲線の1,000Hzの利得は約78dBである。 ❌ 誤り。図を確認する必要がありますが、一般的には1,000Hzでの出力が100dB程度であり、入力が90dBSPLであれば、利得は約10dB程度となるはずです。78dBという値は出力音圧を利得と誤認した可能性があります。 4. 高音漸傾型難聴に適合しない調整である。 ❌ 誤り。この補聴器の周波数レスポンスは3,000Hz付近でピークを示し、高周波数域で利得が大きい傾向が見られます。これは典型的な高音漸傾型(加齢性難聴など)に対する補償特性であり、むしろこのタイプの難聴に「適合する」調整です。 5. 2,000HzにおけるAの利得とBの利得との差は10dBである。 ✅ 正しい。入力音圧が60dBSPL(A)と90dBSPL(B)で異なる場合、補聴器に圧縮機能が備わっていれば、利得は入力の大きさに応じて変化します。入力が30dB大きいBの方が、出力が線形に増加しない結果、利得の差が10dB程度になることは合理的です。これは動的圧縮機能の特性を示しています。 --- 【試験対策ポイント】 補聴器のカプラ測定の基本概念 | 項目 | 説明 | |---|---| | 2cm³カプラ | 補聴器の出力を測定するための標準カプラ | | カプラ利得 | 入力音圧と出力音圧の差(dB単位) | | 実耳利得 | ヒトの耳での実際の利得(カプラ利得と異なる) | | 線形増幅 | 入力が30dB増加→出力も30dB増加 | | 動的圧縮 | 入力が大きいほど利
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