第20回 言語聴覚士国家試験 第21問
聴覚系第20回
正しいのはどれか。
- 1.中耳伝音系では空気から液体へのインピーダンス整合を行う。 ✓
- 2.外有毛細胞の不動毛は蓋膜と連結していない。
- 3.蝸牛の前庭階と中耳は正円窓によって境されている。
- 4.基底板は基底回転より頂回転の方が幅が狭い。
- 5.ヒト蝸牛の内有毛細胞は外有毛細胞より多い。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 中耳伝音系では空気から液体へのインピーダンス整合を行う。
中耳は外界の音波(空気振動)を内耳のリンパ液(液体)に効率よく伝え、インピーダンス不整合による反射ロスを補正する機能を担っています。鼓膜と耳小骨の機械的作用により、音圧が約30倍に増幅されることで、音エネルギーの90%以上が内耳に伝わります。
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【各選択肢の解説】
1. 中耳伝音系では空気から液体へのインピーダンス整合を行う。
✅ 正しい。中耳は音圧増幅によってインピーダンスを整合し、外耳道(空気)から蝸牛(リンパ液)への効率的なエネルギー伝達を実現します。
2. 外有毛細胞の不動毛は蓋膜と連結していない。
❌ 誤り。外有毛細胞の不動毛(約140本)の先端は蓋膜と直接連結しており、この連結により機械刺激を受けます。内有毛細胞の不動毛は蓋膜と接触しますが、連結していません。
3. 蝸牛の前庭階と中耳は正円窓によって境されている。
❌ 誤り。正円窓(卵円窓ではなく丸窓)は前庭階と中耳を分隔していますが、より正確には「前庭階と中耳の間」です。ただし、蝸牛内部では前庭階・中階(蝸牛管)・鼓室階の3つが存在し、正円窓は鼓室階(最下層)と中耳を分隔するのが解剖学的に正確です。
4. 基底板は基底回転より頂回転の方が幅が狭い。
❌ 誤り。基底板は基底回転で最も幅が狭く(約0.1mm)、頂回転に向かって幅が広くなります(約0.5mm)。周波数の高い音は基底回転で、低い音は頂回転で最大に振動する理由となります。
5. ヒト蝸牛の内有毛細胞は外有毛細胞より多い。
❌ 誤り。内有毛細胞は約3,500個、外有毛細胞は約12,000個で、外有毛細胞が3倍以上多く存在します。外有毛細胞は音圧増幅に関与する重要な要素です。
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【試験対策ポイント】
蝸牛内部構造の正確な名称と機能
| 構造 | 位置 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 前庭階 | 上層 | ペリンパ液で満たされる |
| 中階(蝸牛管) | 中層 | エンドリンパ液で満たされる、感覚細胞を含む |
| 鼓室階 | 下層 | ペリンパ液で満たされる |
| 正円窓 | 鼓室階と中耳の境 | 振動吸収 |
| 卵円窓 | 前庭階と中耳の境 | 音圧伝達 |
有毛細胞の数と機能
| 細胞 | 数 | 蓋膜との関係 | 主な機能 |
|---|---|---|---|
| 内有毛細胞 | 約3,500個 | 接触(連結しない) | 聴覚情報の脳への伝達 |
| 外有毛細胞 | 約12,000個 | 連結(不動毛が接続) | 音圧増幅(能動増幅) |
基底板の幅と周波数特性
基底回転(0.1mm)→ 高周波数応答
頂回転(0.5mm)→ 低周波