第20回 言語聴覚士国家試験 第22問
聴覚系第20回
正しい組合わせはどれか。
a.耳小骨筋反射 ― 音響インピーダンス増加
b.内有毛細胞 ― 蝸牛の周波数同調機能
c.蝸牛神経核 ― 音の方向覚
d.半規管 ― 直線加速度の感知
e.血管条 ― 内リンパの産生
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
耳小骨筋反射と血管条に関する組合わせが正しいです。耳小骨筋反射は音響インピーダンスを「減少」させることで鼓膜への反射波を軽減し、内耳を大音量から保護します。血管条は内リンパの産生を担う重要な構造で、内リンパ液のイオン組成維持に関わります。
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【各選択肢の解説】
a. 耳小骨筋反射―音響インピーダンス増加
✅ 正しい。耳小骨筋反射(大きな音に対する防御反応)により、ツチ骨筋と鐙骨筋が収縮して耳小骨系の硬度が増し、音響インピーダンスが増加します。これにより内耳への過度な振動伝達を軽減する保護機構として機能します。
b. 内有毛細胞―蝸牛の周波数同調機能
❌ 誤り。周波数同調機能は基礎膜(basilar membrane)の物理的特性によって担われます。内有毛細胞は受音細胞として音を電気信号に変換しますが、周波数選別自体は行いません。基礎膜の剛性勾配が周波数別の振動を決定します。
c. 蝸牛神経核―音の方向覚
❌ 誤り。音の方向覚(音源定位)は上オリーブ核が担当します。蝸牛神経核は第1段階の音情報処理(周波数、強度の初期分析)を行いますが、両耳間の時間差・レベル差から方向を計算するのは上オリーブ核です。
d. 半規管―直線加速度の感知
❌ 誤り。半規管は回転加速度(角加速度)を感知します。直線加速度(平行加速度)を感知するのは卵形嚢と球形嚢にある耳石器(マキュラ)です。半規管は回転運動の検出に特化しています。
e. 血管条―内リンパの産生
✅ 正しい。血管条は蝸牛のらせん靭帯内に位置する高い血管密度を持つ組織で、内リンパ液を産生します。内リンパ液のカリウム濃度が高い組成を維持することが、内有毛細胞の感覚トランスダクションに必須です。
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【試験対策ポイント】
内耳機能の部位と役割の整理表:
| 構造 | 主機能 | よくある誤り |
|---|---|---|
| 基礎膜 | 周波数同調 | 内有毛細胞が周波数を選別すると思い込む |
| 内有毛細胞 | トランスダクション(機械→電気) | 周波数選別と混同 |
| 外有毛細胞 | 周波数同調の精密化・感度増幅 | 国家試験で出題頻度は低い |
| 血管条 | 内リンパ産生 | 外リンパ産生と混同する受験生も稀 |
| 上オリーブ核 | 両耳比較→方向覚 | 蝸牛神経核と混同 |
| 球形嚢・卵形嚢 | 直線加速度検知 | 半規管と混同 |
| 半規管 | 回転加速度検知 | 直線加速度と混同 |
耳小骨筋反射の防御メカニズム:
- 動作閾値:約80dB
- 潜時:10~150ms
- インピーダンスを「増加」させることで→反射音を「減少」
- 受験生が「インピーダンス減少」と誤読することが多いので要注意