第20回 言語聴覚士国家試験 第25問
解剖学第20回
ヒトの視細胞について誤っているのはどれか。
- 1.十分に暗順応した状態の暗所視で主に働いているのは棹体細胞である。
- 2.錘体細胞の感度は環境中の照明強度によって変化する。
- 3.網膜における錘体細胞の分布密度はほぼ一定である。 ✓
- 4.大半の人の錘体細胞は3種類である。
- 5.棹体細胞は1種類であると考えられている。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 網膜における錘体細胞の分布密度はほぼ一定である。
網膜における錘体細胞の分布密度は一定ではなく、中心窩(黄斑)で最も密集し、周辺部へいくほど減少します。これに対し棹体細胞は周辺部に多く分布し、中心窩にはほぼ存在しません。これが暗所視では周辺視が有効、明所視では中心視が有効という機能的特性につながります。
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【各選択肢の解説】
1. 十分に暗順応した状態の暗所視で主に働いているのは棹体細胞である。
✅ 正しい。暗所視(スコトピック視覚)の主体は棹体細胞で、感度が高く、色覚がない単色視です。
2. 錘体細胞の感度は環境中の照明強度によって変化する。
✅ 正しい。錘体細胞は明所視(フォトピック視覚)に対応し、照度変化に応じて感度調整が可能です(光順応・暗順応)。
3. 網膜における錘体細胞の分布密度はほぼ一定である。
❌ 誤り。錘体細胞は中心窩で最密集(視細胞の100%)し、周辺部では急速に減少します。これは中心視の高解像度に対応した解剖学的特性です。
4. 大半の人の錘体細胞は3種類である。
✅ 正しい。L-錘体(赤感受性)、M-錘体(緑感受性)、S-錘体(青感受性)の3種類が存在し、三色覚を実現します。
5. 棹体細胞は1種類であると考えられている。
✅ 正しい。棹体細胞はロドプシンという1種類の視物質を持つ単一タイプで、色の識別能がありません。
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【試験対策ポイント】
視細胞の分布・特性比較表:
| 特性 | 棹体細胞 | 錘体細胞 |
|---|---|---|
| **視覚タイプ** | 暗所視(スコトピック) | 明所視(フォトピック) |
| **感度** | 高い | 低い |
| **応答速度** | 遅い | 速い |
| **網膜分布** | 周辺部に密集 | 中心窩(黄斑)に密集 |
| **分布密度変化** | ほぼ均等 | **中心→周辺で激減** ← 正答の根拠 |
| **種類数** | 1種類 | 3種類 |
| **色覚** | なし | あり(三色覚) |
| **視物質** | ロドプシン | オプシン |
誤答ポイント:分布密度を「一定」と勘違えやすい。中心窩は錘体のみで棹体ゼロ、周辺部は棹体が優位という「勾配的分布」が解剖学的実態です。