第20回 言語聴覚士国家試験 第35問
生涯発達心理学第20回
老年期には補償を伴う選択的最適化によって発達が促されるとするBaltes,P.B.による理論はどれか。
- 1.サクセスフル・エイジング
- 2.ポジティブ・エイジング
- 3.SOC理論 ✓
- 4.プロダクティブ・エイジング
- 5.ソーシャルネットワーク理論
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — SOC理論
Baltes,P.B.は老年期の発達を説明するため、「選択(Selection)・最適化(Optimization)・補償(Compensation)」の3つの戦略からなるSOC理論を提唱しました。老年期は身体的・認知的機能の低下に直面しますが、限られた資源を戦略的に配分することで、むしろ発達が促進されるという考え方です。
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【各選択肢の解説】
1. サクセスフル・エイジング
❌ 誤り。Rowe,J.W.とKahn,R.L.が提唱した理論で、「疾患がなく、認知機能・身体機能が高く、社会的関与がある」という多次元的な成功した加齢を説明します。Baltesの理論ではありません。
2. ポジティブ・エイジング
❌ 誤り。高齢者の肯定的側面に焦点を当てる概念で、WHO等で推奨されていますが、特定の理論家の名前と結びついた理論ではなく、より一般的な加齢観です。
3. SOC理論
✅ 正しい。Baltes,P.B.による理論で、選択(資源を配分する領域を限定)→最適化(残存能力を最大限発揮)→補償(低下した機能を他の手段でカバー)というプロセスを経て老年期の発達が促進されるとしています。
4. プロダクティブ・エイジング
❌ 誤り。高齢者が経済的・社会的に生産的活動に従事することの重要性を強調する概念ですが、Baltesの理論ではありません。
5. ソーシャルネットワーク理論
❌ 誤り。社会関係が健康や発達に影響を与えることを説明する理論で、高齢者の社会的孤立と健康の関係を扱いますが、Baltesのメイン理論ではありません。
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【試験対策ポイント】
高齢者発達理論の比較表
| 理論 | 提唱者 | 主要概念 |
|---|---|---|
| SOC理論 | Baltes,P.B. | 選択・最適化・補償(資源配分戦略) |
| サクセスフル・エイジング | Rowe & Kahn | 疾患なし+認知機能高い+社会的関与 |
| プロダクティブ・エイジング | Butler など | 経済的・社会的生産性の維持 |
| ソーシャルネットワーク理論 | Caplan など | 社会関係が健康に寄与 |
重要ポイント:
- 「補償」「戦略的」がキーワード→SOC理論を疑う
- Baltesは発達心理学の大家で、生涯発達観の基礎を築いた
- SOC理論は「制約のある環境下での適応」を強調(ネガティブでなくポジティブな解釈)