第20回 言語聴覚士国家試験 第5問
生理学第20回
ホルモンと作用との組合せで誤っているのはどれか。
- 1.アンギオテンシン ― 血圧上昇
- 2.インスリン ― 血糖上昇 ✓
- 3.アドレナリン ― 心拍数増加
- 4.副甲状腺ホルモン ― 血中カルシウム濃度上昇
- 5.糖質コルチコイド ― 抗炎症作用
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — インスリン ― 血糖上昇
インスリンは膵β細胞から分泌されるホルモンで、作用は正反対です。インスリンは血糖を低下させます。インスリンは筋肉・脂肪組織などでの glucose uptake を促進し、グリコーゲン合成を促進する一方、糖新生を抑制するため、結果として血糖を上昇させるどころか低下させます。
---
【各選択肢の解説】
1. アンギオテンシン ― 血圧上昇
✅ 正しい。レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の中枢的ホルモン。アンギオテンシンⅡは血管平滑筋収縮と末梢血管抵抗増加により血圧を上昇させます。また副腎皮質からのアルドステロン分泌も促進し、水・ナトリウム再吸収により循環血液量増加をもたらします。
2. インスリン ― 血糖上昇
❌ 誤り。インスリンの作用は血糖低下です。膵β細胞から分泌され、標的組織での glucose transporter の発現増加と GLUT4 の細胞膜移行により glucose uptake を促進。グリコーゲン合成促進、糖新生抑制、脂肪酸合成促進により、総合的に血糖を低下させます。
3. アドレナリン ― 心拍数増加
✅ 正しい。副腎髄質から分泌される交感神経作動薬。心臓β1受容体に作用して心拍数を増加させ、また心筋の収縮力も増加させます。これにより心拍出量が増加し、血圧上昇と並行します。
4. 副甲状腺ホルモン(PTH) ― 血中カルシウム濃度上昇
✅ 正しい。副甲状腺から分泌されるペプチドホルモン。作用は多面的:(1)腎臓での calcium 再吸収促進と phosphate 排泄促進、(2)骨からのカルシウム動員促進、(3)1,25-dihydroxyvitamin D3 産生促進(腸管吸収促進)。これら複数の経路で血中カルシウム濃度を上昇させます。
5. 糖質コルチコイド ― 抗炎症作用
✅ 正しい。副腎皮質束状層から分泌。医学的に最も重要な作用が抗炎症・免疫抑制作用です。NF-κB の活性化を抑制し、TNF-α・IL-6 等の炎症性サイトカイン産生を低下させます。このため臨床でも炎症疾患や自己免疫疾患の治療薬として広く使用されています。
---
【試験対策ポイント】
ホルモンと作用の対応表(頻出ホルモン)
| ホルモン | 分泌臓器 | 主作用 | 血糖への作用 |
|---|---|---|---|
| インスリン | 膵β細胞 | glucose uptake促進 | **低下** ❌注目 |
| グルカゴン | 膵α細胞 | 糖新生・グリコーゲン分解 | 上昇 |
| アドレナリン | 副腎髄質 | 心拍↑・血圧↑ | 上昇 |
| アンギオテンシンⅡ | (血液) | 血管収縮・血圧↑ | 変化なし |
| PTH | 副甲状腺 | Ca2+濃度↑ | 変化なし |
| カルシトニン | 甲状腺傍ろ胞細胞 | Ca2+濃度↓ | 変化なし |
| 糖質コルチコイド | 副腎皮質 |