第20回 言語聴覚士国家試験 第51問
言語聴覚障害総論第20回
音声コミュニケーションに影響を与える加齢変化はどれか。
a.喉頭下垂
b.認知機能低下
c.聴力低下
d.手指の巧緻性の低下
e.喉頭の知覚低下
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
音声コミュニケーションに影響を与える加齢変化は、認知機能低下と聴力低下です。加齢に伴う聴力低下(老人性難聴)は音声知覚に直結し、認知機能低下は音声理解や言語処理能力に影響します。これらは実際にコミュニケーション機能を障害する本質的な加齢変化です。
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【各選択肢の解説】
a. 喉頭下垂
❌ 誤り。喉頭は加齢に伴い「下垂」するのではなく、むしろ「上昇」する傾向にあります。また、加齢による喉頭の位置変化は音声コミュニケーション機能に直接的な影響を与えません。喉頭下垂は医学的に確立された加齢変化ではなく、むしろ逆の現象が報告されています。
b. 認知機能低下
✅ 正しい。加齢に伴う認知機能低下は、音声言語の理解、処理、産出に重大な影響を与えます。記憶力低下や注意集中力の減退は、コミュニケーション全体の効率性を低下させ、音声コミュニケーション機能に直結する変化です。
c. 聴力低下
✅ 正しい。加齢に伴う感音難聴(老人性難聴)は最も典型的な加齢変化の一つです。高周波数帯域からの聴力低下により、音声知覚能力が低下し、音声言語コミュニケーション機能が著しく障害されます。
d. 手指の巧緻性の低下
❌ 誤り。手指の巧緻性低下は、音声コミュニケーション自体には直接影響しません。手指巧緻性は手書きなどの代替コミュニケーション手段に関連しますが、音声コミュニケーションの本体ではありません。
e. 喉頭の知覚低下
❌ 誤り。加齢に伴う喉頭の知覚低下は確かに生じていますが、これが音声コミュニケーション機能に直接的かつ臨床的に有意な影響を与えるとは言えません。むしろ聴力低下や認知機能低下の方が、コミュニケーション障害に直結する加齢変化です。
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【試験対策ポイント】
加齢による音声言語機能の変化(実際の影響度):
| 加齢変化 | 音声コミュニケーションへの影響 |
|---|---|
| 聴力低下(老人性難聴) | 直接的・深刻(高周波障害→語音弁別低下) |
| 認知機能低下 | 直接的・深刻(理解・処理能力低下) |
| 喉頭機能低下 | 間接的・軽微(音声品質劣化だが機能維持) |
| 喉頭知覚低下 | 間接的・軽微(安全嚥下に影響大だが音声には軽微) |
| 手指巧緻性低下 | 無関係(音声コミュニケーション自体には非関連) |
重要な区別:「加齢変化がある」≠「コミュニケーション機能に影響する」
- 「音声コミュニケーション」に直結するのは、送受信機能(音声産出・聴覚知覚・認知処理)のみ
- 喉頭の物理的変化(下垂など)は生じても、実際のコミュニケーション障害につながらないことが多い
- 老人性難聴は最重要:周波数別では4000Hz以上で顕著、語音明瞭度が低下