第20回 言語聴覚士国家試験 第52問
言語聴覚障害総論第20回
透明文字盤使用の対象となる患者はどれか。
- 1.ウェルニッケ失語症
- 2.筋萎縮性側索硬化症 ✓
- 3.アルツハイマー病
- 4.喉頭全摘出後
- 5.舌全摘術後
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 筋萎縮性側索硬化症
透明文字盤は、音声産出が困難だが「認知機能・言語理解が保持されている」患者が、文字盤越しに指差しすることで意思伝達を行う補助手段です。ALS(筋萎縮性側索硬化症)は進行性で音声が喪失しますが、認知機能は保たれるため、透明文字盤が有効な対象患者となります。
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【各選択肢の解説】
1. ウェルニッケ失語症
❌ 誤り。ウェルニッケ失語は流暢で音声産出能力がありながら、言語理解が著しく障害されています。透明文字盤を使用しても、文字盤の内容を理解できないため有効ではありません。むしろ音声によるコミュニケーション試行が優先されます。
2. 筋萎縮性側索硬化症
✅ 正しい。ALSは進行に伴い球麻痺により構音障害が進行し、最終的に音声産出が困難になります。しかし認知機能・言語理解・視機能は保持されるため、透明文字盤で指差した文字を対話者が読み取ることで意思伝達が成立します。透明文字盤の典型的適応患者です。
3. アルツハイマー病
❌ 誤り。アルツハイマー病は進行に伴い認知機能(特に記憶・理解)が低下するため、文字盤の内容を理解・適切に指差しすることが困難になります。初期でも高度な失語がなく、音声コミュニケーションが優先されます。
4. 喉頭全摘出後
❌ 誤り。喉頭全摘出後の患者は音声は失いますが、認知機能・言語理解が完全に保持されています。むしろ音声補助装置(人工喉頭・食道音声など)やアイトラッカー、筆談といった直接的な代替手段が優先されます。透明文字盤は手指の巧緻性が必要であり、多くの場合、他の選択肢が適切です。
5. 舌全摘術後
❌ 誤り。舌全摘術後は構音障害が生じますが、手指機能・認知機能が保持されていれば筆談やAAC機器など、より効率的な代替手段が利用可能です。特に術後の知的機能低下がない場合、透明文字盤は非効率とされます。
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【試験対策ポイント】
透明文字盤の適応条件
| 必須条件 | 必須条件のチェック |
|---|---|
| 音声産出困難 | 構音障害が高度~音声喪失 |
| 認知機能保持 | 判断力・記憶力が良好 |
| 言語理解保持 | 聴覚的・視覚的理解が良好 |
| 視機能保持 | 文字盤を見る能力がある |
| 手指機能保持 | 指差しができる最低限の巧緻性 |
ALS(筋萎縮性側索硬化症)が透明文字盤の代表的適応患者
- 進行性だが認知機能は保たれる
- 球麻痺により構音障害が進行
- 最終段階ではアイトラッカーへの移行も考慮
各選択肢の対応手段
- ウェルニッケ失語:音声コミュニケーション継続が原則。文字指摘は理解困難
- 喉頭全摘出・舌全摘術後:人工喉頭・食道音声・AAC機器・筆談が優先