STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第54問

言語聴覚障害総論第20回
言語聴覚療法について正しいのはどれか。 a.量的評価は質的評価より重要である。 b.訓練の長期目標の達成期間を設定する必要はない。 c.まず訓練の短期目標を設定してから中期および長期目標を設定する。 d.訓練効果が乏しいと予測される場合でも試験的に訓練を行ってみる意義はある。 e.予後予測に基づいて訓練目標を設定する。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — d,e 言語聴覚療法は「予後予測」に基づいて体系的に目標設定を行い、訓練効果が不確実な場合でも試験的訓練の実施意義があります。目標設定は長期目標から逆算して計画するため、短期目標から始めるという発想は誤りです。 --- 【各選択肢の解説】 a. 量的評価は質的評価より重要である。 ❌ 誤り。言語聴覚療法では「量的評価と質的評価の両者は補完的であり、どちらが重要かではなく併用が必須」です。例えば音声障害では、GRBAS尺度(主観的・質的)と音響分析(客観的・量的)の両方で評価します。 b. 訓練の長期目標の達成期間を設定する必要はない。 ❌ 誤り。長期目標には「達成期間の明記が必須」です。ST実践では「6ヶ月後」「1年後」など具体的な期限を設定し、これが訓練計画と効果測定の根拠となります。 c. まず訓練の短期目標を設定してから中期および長期目標を設定する。 ❌ 誤り。訓練目標設定は「逆算方式」です。まず「患者の社会復帰・日常生活自立」という長期目標(遠い将来)を決め、そこから中期目標、短期目標へと段階的に逆算します。短期目標から始めるのは論理的順序が逆です。 d. 訓練効果が乏しいと予測される場合でも試験的に訓練を行ってみる意義はある。 ✅ 正しい。予後予測が困難な症例や、効果が不確実でも「試験的訓練(試行期間)」を実施して、実際の反応性・改善可能性を評価する意義があります。予測だけで訓練を放棄するべきではありません。 e. 予後予測に基づいて訓練目標を設定する。 ✅ 正しい。ST実践の最重要原則です。年齢、疾患の種類・経過、神経学的所見、認知機能、動機付け、支援環境など多角的に「予後予測」を行い、これに基づいて現実的で達成可能な訓練目標を設定します。 --- 【試験対策ポイント】 訓練目標設定の流れ(頭に入れるべき順序) 1. 予後予測(年齢・疾患・可逆性判定) 2. 長期目標設定(達成期間明記) 3. 中期目標設定 4. 短期目標設定 5. 試験的訓練の実施と効果測定 量的評価 vs 質的評価の補完関係 | 評価方法 | 内容 | ST実践での役割 | |---|---|---| | 量的評価 | 数値・客観データ(音響分析値・語彙数・復唱反応率など) | 変化の客観化・統計処理・進捗管理 | | 質的評価 | 主観的・観察的評価(GRBAS・機能的会話能力など) | 日常生活での実際の機能性判定・個別性の把握 | 両者は補完的→併用が原則 試験的訓練(Trial Training)の意義 ・予後予測が困難な症例への対応 ・改善可能性の判定 ・患者本人の動機付け向上 ・訓練適応性の評価 ・放棄への誤った判断を防止 頻出の「誤り選択肢パターン」 - 「目標設定に時間枠は不要」→誤り(必須要素) - 「短期目標から逆算」→誤り(長期から逆算) - 「量的評価のみで十分」→誤り(両方必要) - 「予後が悪いなら訓
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