第20回 言語聴覚士国家試験 第60問
失語症第20回
図は標準失語症検査(SLTA)のプロフィール(C)のうち、「聴く」、「話す」,「復唱」を抜粋したものである。ここでは各検査項目の得点がz得点に変換されている。実線で結ばれた得点プロフィールを示した患者について想定される失語症タイプはどれか。【別図あり】
- 1.全失語
- 2.語義失語
- 3.伝導失語 ✓
- 4.失名辞失語
- 5.超皮質性運動失語
正答:3番
解説
# 第20回 第60問 解説
■ 正答:3番 — 伝導失語
伝導失語は「聴く(理解)は保たれ、話すも比較的流暢だが、復唱が選択的に著しく低下する」という特徴的なプロフィールを示します。実線のプロフィールでは「聴く」が比較的良好、「話す」もある程度保たれているのに対し、「復唱」が著明に低下しており、これは弓状束(上側頭回〔Wernicke野〕と下前頭回〔Broca野〕を連結する連合線維)の損傷を反映する典型像です。
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【各選択肢の解説】
1. 全失語
❌ 誤り。全失語では「聴く」「話す」「復唱」のすべてが重度に低下し、プロフィール全体が底辺に張り付くようになります。本ケースで「聴く」が比較的保たれている点と矛盾します。
2. 語義失語
❌ 誤り。語義失語は語の意味理解の障害が中核で、「聴く」が著しく低下する一方で**復唱は良好に保たれる**のが特徴です。本プロフィールでは復唱が選択的に低下しており適合しません。
3. 伝導失語
✅ 正しい。「聴く」は比較的良好、「話す」は軽度〜中等度低下、「復唱」が選択的に著明低下というパターンは伝導失語の典型プロフィールです。音韻性錯語や接近行為(conduite d'approche)を伴うことが多いとされています。
4. 失名辞失語
❌ 誤り。失名辞失語(健忘失語)は喚語困難が中心で、「聴く」「話す」「復唱」はいずれも比較的良好に保たれます。本プロフィールで復唱が著明低下している点で適合しません。
5. 超皮質性運動失語
❌ 誤り。超皮質性運動失語は発話開始困難・非流暢性を呈する一方で、**復唱は良好に保たれる**のが特徴(補足運動野周辺の損傷)。本ケースで復唱が低下している点と矛盾します。
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【試験対策ポイント】
失語症の鑑別は必ず「**流暢性・聴覚的理解・復唱**」の3軸で整理すること。
| 失語症タイプ | 流暢性 | 聴く | 復唱 | 損傷部位 |
|---|---|---|---|---|
| Broca失語 | 非流暢 | 良好 | 不良 | 下前頭回 |
| Wernicke失語 | 流暢 | 不良 | 不良 | 上側頭回後部 |
| **伝導失語** | **流暢** | **良好** | **著しく不良** | **弓状束** |
| 超皮質性運動失語 | 非流暢 | 良好 | **良好** | 補足運動野周辺 |
| 超皮質性感覚失語 | 流暢 | 不良 | **良好** | 側頭頭頂葉後方 |
| 全失語 | 非流暢 | 不良 | 不良 | 広範囲 |
| 失名辞失語 | 流暢 | 良好 | 良好 | 角回周辺 |
| 語義失語 | 流暢 | 不良 | **良好** | 側頭葉前下部 |
**伝導失語を見分けるコツ**:「聴く」「話す」「復唱」のうち**復唱だけが選択的に低下**していれば伝導失語。SLTAプロフィール問題では「復唱の谷」がキーとなる。超皮質性失語との対比(復唱が保たれるか/壊れるか)も頻出ポイント。