第20回 言語聴覚士国家試験 第61問
失語症第20回
重度失語症患者で優先順位の高い訓練はどれか。
a.発話での「はい」、「いいえ」の表出訓練
b.仮名単語の写字訓練
c.コミュニケーション・ボードの使用訓練
d.単語の聴覚的理解訓練
e.仮名単語の音読訓練
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
重度失語症患者にとって最優先されるべき訓練は、残存する機能を活用したコミュニケーション手段の確保と、基礎的な理解能力の向上です。cとdは、失語症患者の実生活での日常コミュニケーション改善に直結し、早期から効果が期待できるため優先度が高いです。一方、aは「はい・いいえ」という限定的な表出に依存し、b・eは重度患者には実行困難で、実用性が低いため優先度が低くなります。
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【各選択肢の解説】
a. 発話での「はい」、「いいえ」の表出訓練
❌ 誤り。確かに残存機能を活用する訓練ですが、この二者択一型の応答は患者のコミュニケーション需要の極めて一部に過ぎません。重度失語症では、より多角的で柔軟なコミュニケーション手段を優先すべきです。
b. 仮名単語の写字訓練
❌ 誤り。重度失語症患者では読み書き障害を併存することが多く、写字という複雑な認知運動課題は実行困難です。また、実際のコミュニケーション場面での即時的な有用性が限定的であり、優先度が低くなります。
c. コミュニケーション・ボードの使用訓練
✅ 正しい。失語症患者が発話機能に頼らずコミュニケーションを成立させるための「代替手段」です。重度患者では音声言語の回復が不確実であるため、早期からボードの使用を習熟させることで、入院中から退院後まで一貫した実用的なコミュニケーションが可能になります。優先度が極めて高いです。
d. 単語の聴覚的理解訓練
✅ 正しい。受容言語(聴覚理解)の改善は、患者が周囲の言葉を理解できるようになることを意味し、対人関係の質を直接高めます。重度失語症でも聴覚理解が相対的に保存されていることが多いため、基礎的なレベルから段階的に訓練を進めやすく、実生活への波及効果が大きいです。
e. 仮名単語の音読訓練
❌ 誤り。重度失語症では音韻処理が著しく障害されているため、仮名を見ても音読という複合的なタスク実行は極めて困難です。訓練効果が期待しにくく、患者の動機付けも失われやすいため優先度が低いです。
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【試験対策ポイント】
重度失語症の訓練優先順位の判断基準
| 評価項目 | 優先度の判定 |
|---|---|
| 実行可能性 | 患者が実際に遂行できるか |
| 実用性 | 日常コミュニケーションに直結するか |
| 環境への波及 | 家族・スタッフへの周知・理解が容易か |
| 早期効果 | 短期間で成果が見える可能性 |
| 患者の動機付け | 成功体験が得られるか |
キーワード
- コミュニケーション・ボード:「代替コミュニケーション手段」の基本
- 聴覚理解訓練:「受容言語の改善」は対人関係の質的向上に結びつく
- 重度失語症での「音声言語回復の不確実性」→早期に非言語的・代替的手段を確保することの重要性
頻出の紛らわしい選択肢
- 「a」:一見シンプルで実行可能に見えるが、実用性が著しく限定される(あらゆるコミュニケーション場面で「はい/いいえ」では対応不可)
- 「b・e」:読み書き・音