第20回 言語聴覚士国家試験 第63問
高次脳機能障害第20回
道具の強迫的使用について正しいのはどれか。
a.見た物品を意思に反して使用する。
b.本能性把握反応を伴う。
c.拮抗性失行を合併する。
d.両手に生じる。
e.頭頂葉内側部病変による。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a,b
道具の強迫的使用(utilization behavior)は、見たものを意思に反して自動的に使用する行動であり、本能性把握反応を伴う前頭葉症状です。前頭葉背外側部(特に眼窩前頭皮質)の病変で生じ、片側性で出現し、他の失行との合併は典型的ではありません。
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【各選択肢の解説】
a. 見た物品を意思に反して使用する
✅ 正しい。道具の強迫的使用の定義そのものです。例えば、目の前にあるコップを見ると、飲みたくなくても自動的に口に運んでしまう行動が典型的です。意思的コントロールができない点が本質です。
b. 本能性把握反応を伴う
✅ 正しい。本能性把握反応(primitive grasp reflex)は前頭葉損傷の古典的な徴候で、道具の強迫的使用と同じ神経基盤(前頭葉)に由来します。両者はしばしば共存します。
c. 拮抗性失行を合併する
❌ 誤り。拮抗性失行は小脳疾患で見られ、道具の強迫的使用との必然的な関連性はありません。道具の強迫的使用は前頭葉症状であり、小脳症状を伴うことは典型的ではないです。
d. 両手に生じる
❌ 誤り。道具の強迫的使用は病変側の対側肢(通常は片側)に限定されます。両側に出現することは特徴的ではなく、むしろ片側性が典型的です。
e. 頭頂葉内側部病変による
❌ 誤り。道具の強迫的使用の責任病巣は前頭葉(特に背外側部や眼窩前頭皮質)です。頭頂葉内側部病変では観念失行や観念運動失行などの失行症が生じます。場所の誤認が重要なポイントです。
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【試験対策ポイント】
道具の強迫的使用(Utilization Behavior)の特徴:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 見た物品を意思に反して自動的に使用 |
| 責任病巣 | 前頭葉(背外側部・眼窩前頭皮質) |
| 伴う症状 | 本能性把握反応 |
| 出現側 | 片側性(病変対側) |
| 典型例 | 前に置かれたコップを自動的に飲む |
関連する前頭葉症状との区別:
| 症状 | 病巣 |
|---|---|
| 本能性把握反応 | 前頭葉 |
| 道具の強迫的使用 | 前頭葉 |
| 観念失行・観念運動失行 | 頭頂葉 |
| 拮抗性失行 | 小脳 |
頻出の誤り選択肢「頭頂葉内側部」は、むしろ「拮抗性失行」などとセットで出題されるため、混同しやすいポイントです。道具の強迫的使用=前頭葉、失行症=頭頂葉との分け方をしっかり固めてください。