STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第66問

言語発達障害学第20回
自閉症スペクトラム障害について正しい組合せはどれか。
  1. 1.Baron-Cohen,S. ― 感覚の障害
  2. 2.Kanner,L. ― 中枢性統合の弱さ
  3. 3.Asperger,H. ― 心の理論の障害
  4. 4.Schopler,E. ― 実行機能の障害
  5. 5.Wing,L. ― 「三つ組」の障害 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — Wing,L. — 「三つ組」の障害 Wing,L.は自閉症スペクトラム障害の診断的特徴を「社会的相互作用」「コミュニケーション」「想像遊び」の「三つ組」の障害として統合的に整理しました。この枠組みは現代の自閉症診断基準(DSM-5の「社会的コミュニケーション欠陥」と「限定的・反復的パターン」)の基礎となっており、最も実臨床的で広く認識された定義です。 --- 【各選択肢の解説】 1. Baron-Cohen,S. — 感覚の障害 ❌ 誤り。Baron-Cohenは「心の理論(Theory of Mind)」研究の第一人者です。自閉症児が他者の意図・信念を理解する能力に障害があることを提唱しました。感覚障害は彼の主要な理論ではありません。 2. Kanner,L. — 中枢性統合の弱さ ❌ 誤り。Kannerは自閉症を初めて記述した歴史的人物ですが、「中枢性統合の弱さ」はFrith,U.の理論です。Kannerは「情動交流の本質的孤立」と「物体と行為への同一性追求」を特徴として報告しました。 3. Asperger,H. — 心の理論の障害 ❌ 誤り。Aspergerは1944年にアスペルガー症候群を初報告しましたが、「心の理論の障害」はBaron-Cohenの理論です。Asperger,H.は言語発達が正常で知的障害がない自閉的特性を記述しました。 4. Schopler,E. — 実行機能の障害 ❌ 誤り。Schopler,E.は自閉症の療育・診断スケール(PEP:Psychoeducational Profile)の開発者として知られていますが、「実行機能の障害」は彼の理論ではありません。実行機能障害は認知心理学的な説明の一つです。 5. Wing,L. — 「三つ組」の障害 ✅ 正しい。Wing,L.は1988年に自閉症の診断的三徴候(診断的三つ組)を提唱しました。これは以下から構成されます:(1)社会的相互作用の質的障害、(2)コミュニケーション(言語・非言語)の質的障害、(3)想像遊び・創造的活動の限定化と常同行動です。 --- 【試験対策ポイント】 自閉症スペクトラム障害の理論家と理論の対応 | 研究者 | 提唱内容 | 臨床的位置づけ | |---|---|---| | Kanner,L.(1943) | 「情動交流の本質的孤立」「物体への同一性追求」 | 自閉症の初めての記述者 | | Asperger,H.(1944) | 言語発達正常・知的水準正常の自閉的特性 | アスペルガー症候群の初報告 | | Frith,U.(1989) | 「中枢性統合の弱さ(Weak Central Coherence)」 | 局所的処理の優位性を説明 | | Baron-Cohen,S.(1985〜) | 「心の理論(Theory of Mind)の障害」 | 他者の意図・信念理解の困難を説明 | | Schopler,E.(1974〜) | PEP(心理教育的プロフィール)の開発 | 個別的な特性評価と療育計画立案 | | Wing,L.(1988) | 「診断的三つ組」 | 現代診断基準の基礎となる統合的枠組み | 重要なポイント - Wing,L.の「三つ組」は3つの領域の質的障害を強調(量的障害ではない) - 現在のDS
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