第20回 言語聴覚士国家試験 第86問
嚥下障害第20回
誤っているのはどれか。
- 1.嚥下機能検査の際には湿性嗄声に注意する
- 2.嚥下造影検査で誤嚥の有無が評価できる
- 3.水飲みテストで不顕性誤嚥の有無が評価できる ✓
- 4.嚥下内視鏡検査で鼻咽腔閉鎖機能が評価できる
- 5.反復唾液嚥下テストで30秒間に2回以下は異常と判定する
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 水飲みテストで不顕性誤嚥の有無が評価できる
水飲みテストは患者の症状(むせ・咳)の有無で判定する臨床検査であり、「顕性誤嚥(目に見える症状)」は検出できますが、「不顕性誤嚥(症状がない無声の誤嚥)」は検出できません。不顕性誤嚥を評価するには器械的検査(嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査)が必須です。
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【各選択肢の解説】
1. 嚥下機能検査の際には湿性嗄声に注意する
✅ 正しい。湿性嗄声は咽頭残留物や誤嚥の可能性を示唆する重要な臨床兆候です。嚥下機能検査中にこの症状が現れた場合、検査の中断・嚥下機能の悪化判定の必要性が生じるため、注意深く観察する必要があります。
2. 嚥下造影検査で誤嚥の有無が評価できる
✅ 正しい。嚥下造影検査(VF)は放射線透視下でバリウム造影剤を用いて嚥下の各相を動的に観察でき、気管への食物流入(誤嚥)を直視的に評価できる金標準検査です。
3. 水飲みテストで不顕性誤嚥の有無が評価できる
❌ 誤り。水飲みテストは簡便な臨床スクリーニングですが、患者の自覚症状(むせ・咳)に依存するため、症状を伴わない不顕性誤嚥は検出できません。不顕性誤嚥の診断には嚥下造影検査または嚥下内視鏡検査が必要です。
4. 嚥下内視鏡検査で鼻咽腔閉鎖機能が評価できる
✅ 正しい。嚥下内視鏡検査(VE)では軟口蓋の挙上と咽頭後壁の前方移動による鼻咽腔閉鎖の様子を観察できます。また同時に喉頭侵入・誤嚥も評価可能です。
5. 反復唾液嚥下テストで30秒間に2回以下は異常と判定する
✅ 正しい。反復唾液嚥下テスト(RSST)の正常値は30秒間に3回以上の嚥下動作です。2回以下は嚥下機能低下の指標となり、誤嚥リスク患者のスクリーニングに有用です。
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【試験対策ポイント】
【嚥下検査の特性比較】
| 検査名 | 顕性誤嚥 | 不顕性誤嚥 | 操作性 | 放射線 |
|---|---|---|---|---|
| 水飲みテスト | 検出○ | 検出❌ | 簡便 | なし |
| 嚥下造影検査 | 検出◎ | 検出◎ | 複雑 | あり |
| 嚥下内視鏡検査 | 検出◎ | 検出○ | 複雑 | なし |
| 反復唾液嚥下テスト | スクリーニング | スクリーニング | 簡便 | なし |
【重要な否定知識】
- 水飲みテスト=症状ベース→不顕性誤嚥は見逃される
- 気管切開術単独では誤嚥防止にならない
- 嚥下反射の瞬間(VEでのホワイトアウト)は咽頭期評価が困難
【各検査の使い分け】
- スクリーニング:水飲みテスト・RSST(簡便、陽性時は器械検査