第20回 言語聴覚士国家試験 第87問
嚥下障害第20回
嚥下反射惹起遅延がある患者の直接訓練開始時における訓練食の性状として適切なのはどれか。
a.冷たい
b.流動性が高い
c.細かくきざんである
d.粘膜に付着しやすい
e.均一である
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
# 第20回 第87問 解説
■ 正答:2番 — a,e
嚥下反射惹起遅延がある患者では、食塊が咽頭に到達してから嚥下反射が起こるまでに時間がかかるため、その間に食塊が気道に流れ込み誤嚥するリスクがあります。そのため訓練食には、**冷刺激により嚥下反射を誘発しやすく**、かつ**均一な性状でまとまりがあり、咽頭でばらけにくいもの**が適切です。
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【各選択肢の解説】
a. 冷たい
✅ 正しい。冷刺激は咽頭・口腔の温度受容器を介して嚥下反射の惹起を促進します。アイスマッサージなどの間接訓練と同じ原理で、反射惹起遅延患者の訓練食として有効です。
b. 流動性が高い
❌ 誤り。流動性が高い(サラサラした水分)食物は、嚥下反射が起こる前に咽頭・喉頭へ流れ込みやすく、反射惹起遅延患者では**最も誤嚥しやすい性状**です。直接訓練ではむしろ避けるべきで、適度なトロミをつけて流入速度を遅らせる必要があります。
c. 細かくきざんである
❌ 誤り。きざみ食は口腔・咽頭内でばらけやすく、まとまりを欠くため食塊形成が困難で、反射惹起遅延患者では咽頭残留・誤嚥のリスクが高まります。
d. 粘膜に付着しやすい
❌ 誤り。粘膜付着性が高い食物は咽頭残留を生じやすく、嚥下後の誤嚥(不顕性誤嚥)の原因となるため不適切です。
e. 均一である
✅ 正しい。均一な性状(ゼリー状・ペースト状など)はまとまりが良く食塊形成が容易で、咽頭通過時にばらけず安全に嚥下できます。直接訓練開始時の基本となる性状です。
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【試験対策ポイント】
嚥下訓練食(嚥下調整食)の3条件は **「密度が均一」「適度な粘度がありバラバラになりにくい」「口腔・咽頭粘膜に付着しにくい」** が基本です。
| 性状 | 適否 | 理由 |
|---|---|---|
| 冷たい | ○ | 温度刺激で嚥下反射を誘発 |
| 均一 | ○ | 食塊形成しやすく咽頭でばらけない |
| 流動性が高い(サラサラ) | × | 反射前に咽頭流入→誤嚥 |
| きざみ食 | × | ばらけて咽頭残留 |
| 粘膜付着性が高い | × | 咽頭残留→不顕性誤嚥 |
**重要な否定知識**:
- 「流動性が高い水分」は反射惹起遅延患者には**禁忌に近い**(適度なトロミが必要)
- きざみ食は咀嚼障害には有効でも、嚥下障害(特に反射惹起遅延)には不適切
- 直接訓練の第一選択は**冷たい嚥下訓練ゼリー**(均一・付着しにくい・冷刺激)