第20回 言語聴覚士国家試験 第90問
小児聴覚障害第20回
新生児スクリーニングについて正しいのはどれか。
- 1.薬物による鎮静が必要である。
- 2.防音室でなくても検査可能である。 ✓
- 3.日本で法制化されている制度である。
- 4.片側のみ要精査の場合は精密検査機関に紹介しなくてよい。
- 5.耳音響放射によるスクイr-ニングは自動ABRより偽陽性が少ない。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 防音室でなくても検査可能である。
新生児聴覚スクリーニング(NHS)は、入院中の新生児を対象に実施される簡便で非侵襲的な検査です。OAE(耳音響放射)やABR(自動聴性脳幹反応)を用いますが、これらは防音室を必須としない検査法であり、一般病棟の静かな環境で実施可能です。
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【各選択肢の解説】
1. 薬物による鎮静が必要である。
❌ 誤り。新生児スクリーニングは自然睡眠中に実施され、鎮静は不要です。むしろ新生児の睡眠を利用することが特徴で、簡便性・安全性を損なわないため鎮静は行いません。
2. 防音室でなくても検査可能である。
✅ 正しい。OAEは高周波の微小音響信号を測定し、ABR(自動型)も周波数特性が限定的であるため、完全な防音室がなくとも、一般病棟の比較的静かな環境での実施が可能です。これが新生児スクリーニング普及の利点の一つです。
3. 日本で法制化されている制度である。
❌ 誤り。日本の新生児聴覚スクリーニングは「推奨制度」ですが、法制化(義務化)されていません。実施は各都道府県・医療機関の判断に委ねられており、厚生労働省のガイドラインはありますが法的強制力はありません。
4. 片側のみ要精査の場合は精密検査機関に紹介しなくてよい。
❌ 誤り。片側のみの要精査結果であっても、聴覚障害の可能性があるため、精密検査(診断聴覚検査・画像検査など)を行う聴覚医療センター等への紹介は必須です。両側性との区別は治療戦略に影響します。
5. 耳音響放射によるスクリーニングは自動ABRより偽陽性が少ない。
❌ 誤り。むしろ逆で、OAEは「中耳液貯留」や「外耳異物」の影響を受けやすく、偽陽性率が自動ABRより高くなる傾向があります。自動ABRは中耳機能を反映しにくく、より特異性が高いとされています。
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【試験対策ポイント】
OAEと自動ABRの比較:
| 項目 | OAE(耳音響放射) | 自動ABR |
|---|---|---|
| 防音室の必要性 | 不要 | 不要 |
| 中耳液の影響 | 大きい(偽陽性↑) | 小さい |
| 検査時間 | 短い(1〜2分) | やや長い(3〜5分) |
| 新生児の睡眠 | 自然睡眠で可 | 自然睡眠で可 |
| 聴神経障害検出 | 困難 | 可能 |
重要な否定知識:
- 「法制化」:日本ではまだ。ただし推奨制度として広がっている
- 「片側のみ」→紹介不要は誤り(両側失聴の見落とし防止のため必須)
- スクリーニング陽性→精密検査を受けるまで確定診断ではない
試験の引っ掛けポイント:
新生児スクリーニングの「簡便性」が強調されるため、防音室の必要性について「高度な検査だから必要」と誤解しやすい。しかし実際には防音室は不要であることが制度の利点です。