第20回 言語聴覚士国家試験 第91問
聴力検査第20回
誤っているのはどれか。
- 1.ASSRは周波数別に測定できる。
- 2.睡眠下のABRの反応閾値は上昇する。
- 3.ABRが正常反応であっても低音障害型難聴の例がある。
- 4.ABRのV波は外側毛帯から下丘付近が起源とされている。
- 5.ASSR閾値は低音域で誤差が少ない。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — ASSR閾値は低音域で誤差が少ない。
ASSR(聴性定常反応)は高音域ほど周波数別検出が安定し、誤差が少ないことが特徴です。逆に低音域(特に500Hz以下)では安定性に課題があり、誤差が大きくなる傾向があります。したがって、「低音域で誤差が少ない」という記述は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. ASSRは周波数別に測定できる。
✅ 正しい。ASSRは複数の周波数(通常500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hz)を同時に刺激でき、周波数別に閾値を測定できる検査法です。これが従来のABRと異なる利点で、乳幼児の周波数別聴覚評価に有用です。
2. 睡眠下のABRの反応閾値は上昇する。
✅ 正しい。ABRは睡眠状態(特に深睡眠)で反応閾値が上昇することが知られています。これは脳幹活動の低下に伴い、同期した神経放電が減少するためです。したがって、乳幼児ABR測定では自然睡眠か鎮静下での測定が標準的です。
3. ABRが正常反応であっても低音障害型難聴の例がある。
✅ 正しい。ABRは高音域刺激に反応性が高く、低音障害型難聴(500Hz付近の低下)では高音は保持していることが多いため、ABRが正常範囲であっても低音障害型難聴が存在します。より周波数別の検査(ASSRなど)が必要になります。
4. ABRのV波は外側毛帯から下丘付近が起源とされている。
✅ 正しい。ABRの各成分の起源は確定されていない部分もありますが、V波(Ⅴ波)は外側毛帯から下丘付近(中脳水準)が主な発生源とされています。I波は聴神経、Ⅲ波は上オリーブ核、Ⅴ波は下丘というのが標準的解釈です。
5. ASSR閾値は低音域で誤差が少ない。
❌ 誤り。ASSRは逆に低音域で誤差が大きい傾向があります。高音域(特に2000~4000Hz)ほど安定した検出が可能で、低音域は変動性が高く、再現性に課題があります。これはASSR測定時の重要な制限事項です。
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【試験対策ポイント】
ABR vs ASSR 比較表
| 項目 | ABR | ASSR |
|---|---|---|
| 周波数別測定 | 困難(全体像) | 可能(500~4000Hz) |
| 睡眠の影響 | 閾値上昇 | 比較的安定 |
| 低音域信頼性 | 較好(V波は高音優位) | 低い(誤差大) |
| 高音域信頼性 | 較好 | 極めて良好 |
| 測定時間 | 短い | 長い |
頻出ポイント
・ABRは「脳幹反応」=睡眠で閾値上昇は必須知識
・低音障害型難聴はABR正常+ASSR異常のパターンが典型
・ASSR=周波数別強みだが、低音は信頼性に注意
・V波起源=「外側毛帯→下丘」は定番問題