STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第93問

聴覚系第20回
内耳について正しいのはどれか。 a.外有毛細胞は遠心性神経が直接、終末をつくる。 b.補充現象には主に外有毛細胞の障害が関与する。 c.耳音響放射は主に内有毛細胞に由来する。 d.蝸牛神経の障害では語音明瞭度は保たれる。 e.内耳の感度の調整は内有毛細胞が行う。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b 内耳の有毛細胞の機能と神経支配を正確に理解することが重要です。外有毛細胞は遠心性神経支配を受けて能動的な周波数特性の調整を行い、その障害は補充現象に関与します。一方、耳音響放射は外有毛細胞由来であり、内有毛細胞は受容を行うため、選択肢の正誤判定では有毛細胞の役割分担を区別できることが鍵となります。 --- 【各選択肢の解説】 a. 外有毛細胞は遠心性神経が直接、終末をつくる。 ✅ 正しい。外有毛細胞には脳幹からの遠心性神経(副交感神経)が直接シナプスを形成します。この支配により外有毛細胞は能動的に収縮し、内耳の感度調整に関与します。内有毛細胞とは異なり、外有毛細胞の主機能は感覚受容ではなく周波数解析の精密化です。 b. 補充現象には主に外有毛細胞の障害が関与する。 ✅ 正しい。補充現象(Loudness Recruitment)は、感音難聴において難聴周波数でも音を大きくすると健聴者と同じ大きさで聴こえる現象です。外有毛細胞の障害により能動的な利得制御が失われ、動的範囲が圧縮されることが主因です。蝸牛型感音難聴の特徴的所見です。 c. 耳音響放射は主に内有毛細胞に由来する。 ❌ 誤り。耳音響放射(OAE:Otoacoustic Emissions)は主に外有毛細胞に由来します。外有毛細胞が能動的に振動することで、蝸牛から音が放射されるため、外有毛細胞の完全性の指標として臨床的に重要です。内有毛細胞は純粋な受容機能で、OAE産生には関わりません。 d. 蝸牛神経の障害では語音明瞭度は保たれる。 ❌ 誤り。蝸牛神経(聴神経)の直接障害では、聴力は低下し、さらに語音弁別能も悪化します。語音明瞭度が保たれるのは、蝸牛自体の障害(外有毛細胞損傷による補充現象など)であり、神経障害では保たれません。聴神経腫瘍などで顕著です。 e. 内耳の感度の調整は内有毛細胞が行う。 ❌ 誤り。内耳の感度調整(周波数特性の能動的コントロール)は、外有毛細胞が遠心性神経支配を受けて行います。内有毛細胞は受容機能に特化しており、感度調整には関与しません。この役割分担の違いが内耳の精密な周波数解析を可能にします。 --- 【試験対策ポイント】 内有毛細胞 vs 外有毛細胞の機能分担 | 項目 | 内有毛細胞 | 外有毛細胞 | |---|---|---| | 主機能 | 音受容・シグナル変換 | 能動利得・周波数特性調整 | | 遠心性神経支配 | 間接的(少量) | 直接的(豊富) | | 障害時の症状 | 単純な聴力低下 | 補充現象・語音明瞭度保持 | | OAE産生 | 関与しない | 主産生部位 | | 障害の臨床意義 | 蝸牛型感音難聴 | 初期蝸牛障害の検出 | 補充現象の本態:外有毛細胞機能喪失→能動的ダイナミクス消失
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