STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第97問

補聴器・人工内耳第20回
補聴器について誤っている組合せはどれか。
  1. 1.出力制限装置 ― 強大音から内耳を保護する。
  2. 2.ダンパー ― 共鳴周波数のピークを減じる。
  3. 3.音響利得 ― マイクロホン入力とイヤホン出力の差である。
  4. 4.非線形増幅 ― 歪まずに聞こえる入力音の範囲を減じる。 ✓
  5. 5.周波数レスポンス ― 出力音圧レベルを周波数の関数として表す。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 非線形増幅 — 歪まずに聞こえる入力音の範囲を減じる。 非線形増幅は「歪みなく聞こえる入力音の範囲を増やす」ため、説明が逆です。補聴器内で周波数別に異なる利得を適用することで、小さい音から大きい音まで広い入力範囲で自然に聞こえるようにします。したがって、歪まずに聞こえる入力音の範囲は「増加」(減じるのではなく)します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 出力制限装置 — 強大音から内耳を保護する。 ✅ 正しい。出力制限装置(レシーバ保護回路)は最大出力音圧を制限し、強大音が内耳に直接伝わるのを防ぎます。感音難聴の利用者では既に内耳機能が低下しているため、この保護は必須です。 2. ダンパー — 共鳴周波数のピークを減じる。 ✅ 正しい。ダンパーは音響系内に抵抗を付加する部品で、補聴器の共鳴周波数によるピーク(通常2〜4kHz)を減衰させ、より平坦な周波数レスポンスを実現します。 3. 音響利得 — マイクロホン入力とイヤホン出力の差である。 ✅ 正しい。音響利得は入力音圧(マイク入力)に対する出力音圧(イヤホン出力)の差をデシベル(dB)で表します。利得=出力音圧レベル-入力音圧レベルです。 4. 非線形増幅 — 歪まずに聞こえる入力音の範囲を減じる。 ❌ 誤り。非線形増幅(圧縮増幅)は小さい音と大きい音で異なる利得を付与し、音声の動的範囲(20dB)を補聴器の有効周波数帯域内に圧縮します。結果として「歪まずに聞こえる入力音の範囲は増加」します(減じるのではなく)。 5. 周波数レスポンス — 出力音圧レベルを周波数の関数として表す。 ✅ 正しい。周波数レスポンスは異なる周波数(例:125Hz〜8kHz)での出力音圧レベルをグラフ化したもので、補聴器の周波数特性を視覚化します。 --- 【試験対策ポイント】 補聴器の主要部品・機能 | 部品・機能 | 役割 | 注意点 | |---|---|---| | 出力制限装置 | 最大出力を制限→内耳保護 | 感音難聴者の必須機能 | | ダンパー | 共鳴ピークを減衰 | 周波数レスポンスを平坦化 | | 音響利得 | 入出力音圧の差(dB) | 定義を正確に | | 非線形増幅 | 圧縮:動的範囲を拡大 | ❌「範囲を減じる」は誤り | | 周波数レスポンス | 周波数別の出力音圧 | グラフで表現される | キーワード: - 線形増幅:全入力音に同じ利得を適用(言語明瞭度が低下) - 非線形増幅:入力音のレベルで利得を変化させる(大きい音=利得小、小さい音=利得大) - 圧縮比:大きい音がどれだけ圧縮されるかを示す指標 - 圧縮開始点(Compression Threshold):圧縮が開始される入力音圧レベル 紛らわしいポイント: 「非線形増幅で聞こえる範
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