第20回 言語聴覚士国家試験 第98問
補聴器・人工内耳第20回
補聴器の周波数特性の測定について正しいのはどれか。
- 1.耳あな型補聴器は測定できない。
- 2.補聴器調整時の特性測定は基準の状態で行う。
- 3.2cm3カプラと密閉形疑似耳とは相似した構造になっている。
- 4.入力音圧レベルは補聴器のマイクロホンに入射する音圧を示す。 ✓
- 5.2cm3カプラでは密閉形疑似耳より補聴器の出力音圧レベルが高く計測される。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 入力音圧レベルは補聴器のマイクロホンに入射する音圧を示す。
補聴器の周波数特性測定は、補聴器がどの周波数の音をどの程度増幅するかを評価する重要な検査です。入力音圧レベルとは、測定システムのマイクロホンが受ける実際の音圧値であり、これが基準となって補聴器の増幅特性が正確に評価されます。選択肢4はこの定義を正確に述べているため正答です。
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【各選択肢の解説】
1. 耳あな型補聴器は測定できない。
❌ 誤り。耳あな型補聴器も周波数特性測定は可能です。2cm³カプラを用いて、耳あな型に限らず全ての補聴器の周波数特性を測定できます。むしろ適合確認に必須です。
2. 補聴器調整時の特性測定は基準の状態で行う。
❌ 誤り。補聴器の周波数特性測定は「基準の状態」ではなく「実装着状態」で行う必要があります。実際に装用される状態での音響環境を想定した測定が求められるため、基準状態のみでは臨床的価値が低くなります。
3. 2cm³カプラと密閉形疑似耳とは相似した構造になっている。
❌ 誤り。2cm³カプラと密閉形疑似耳(例:顎なし模型)は構造が異なります。2cm³カプラはシンプルな円筒形ですが、密閉形疑似耳は外耳道形状をより反映した設計になっており、共鳴特性が異なるため測定値に差が生じます。
4. 入力音圧レベルは補聴器のマイクロホンに入射する音圧を示す。
✅ 正しい。入力音圧レベル(Input Sound Pressure Level)は、補聴器のマイクロホン位置に到達する音圧を指し、一般に基準音圧(20μPa)に対するdBで表現されます。この値が補聴器特性測定における基準となります。
5. 2cm³カプラでは密閉形疑似耳より補聴器の出力音圧レベルが高く計測される。
❌ 誤り。実際には逆です。2cm³カプラは体積が小さいため、密閉形疑似耳(より大きな体積)と比べると同じ入力に対して相対的に圧が高まりやすく、結果として出力が高く計測される傾向にあります。ただし測定装置の仕様や周波数依存性により、一概には言えない面もありますが、通常は2cm³の方が高めに出る傾向です。
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【試験対策ポイント】
補聴器周波数特性測定の基本概念
| 用語 | 定義 | 臨床的意味 |
|---|---|---|
| 入力音圧レベル | マイクロホンに入射する音圧(dB SPL) | 補聴器への刺激量を統一 |
| 出力音圧レベル | イヤホンから出力される音圧(2cm³カプラで計測) | 補聴器の増幅能力を評価 |
| 周波数特性 | 周波数ごとの利得の違い | 各周波数帯域での増幅量 |
キーポイント
• 2cm³カプラ:簡便で標準的な測定カプラ(IEC規格)
• 密閉形疑似耳:より自然な耳道形状を再現(実装着に近い)
• 耳あな型補聴器:2cm³カプラで測定可能(耳型カプラも使用)
• 基準状態vs実装着状態:測定の目的により使い分けが必要