第20回 言語聴覚士国家試験 第99問
補聴器・人工内耳第20回
小児人工内耳適応基準(日本耳鼻咽喉科学会2014)で誤っているのはどれか。
- 1.人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない。
- 2.適応年齢は原則1歳以上(体重8kg以上)とする。
- 3.適応は裸耳の平均聴力レベルが100dB以上とする。 ✓
- 4.手術適応について当事者・医師・療育担当者の意見が一致している。
- 5.手術前から術後療育について家族・医療施設内外の専門職種と協力体制がある。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 適応は裸耳の平均聴力レベルが100dB以上とする。
日本耳鼻咽喉科学会(2014)の小児人工内耳適応基準では、適応基準の聴力レベルは「100dB以上」ではなく「90dB以上」とされています。つまり、より軽度の難聴者も人工内耳の適応対象となるため、この選択肢の記述は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない。
✅ 正しい。両耳装用(バイラテラル)は空間定位の向上、騒音下での聞き分けやすさ、音像定位などの利点があり、適応基準では両耳装用を推奨する場合がある旨が明記されています。
2. 適応年齢は原則1歳以上(体重8kg以上)とする。
✅ 正しい。小児の人工内耳装用開始年齢は、1歳以上かつ体重8kg以上という厳密な基準が定められています。これは手術の安全性と術後の聴覚発達の臨界期を考慮した設定です。
3. 適応は裸耳の平均聴力レベルが100dB以上とする。
❌ 誤り。正しくは「90dB以上」です。この基準値の変更により、より軽度の感音難聴児も人工内耳の対象となり、検査結果(補聴器装用下での言語発達の遅れなど)と組み合わせて総合的に判断されます。
4. 手術適応について当事者・医師・療育担当者の意見が一致している。
✅ 正しい。人工内耳装用は本人の人生に大きな影響を与えるため、親/本人・医師・言語聴覚士や教育関係者など複数職種による合意形成が適応基準に明記されています。
5. 手術前から術後療育について家族・医療施設内外の専門職種と協力体制がある。
✅ 正しい。人工内耳装用後の聴覚リハビリテーションは長期にわたるため、手術前から家族や地域の保育園・学校、医療施設外の専門職との協力体制構築が必須要件とされています。
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【試験対策ポイント】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| **聴力基準** | 90dB以上(100dBではない) |
| **適応年齢** | 1歳以上、体重8kg以上 |
| **基本方針** | 両側内耳に対する評価が必須。両耳装用も否定しない |
| **合意形成** | 本人・親・医師・療育担当者・学校 |
| **療育体制** | 手術前から協力体制の構築が必須 |
【紛らわしいポイント】
- 2008年と2014年で基準値が異なる:旧基準は100dB以上→新基準は90dB以上に引き下げられた理由は、補聴器効果不十分な児が早期から音声言語の発達支援を受ける必要性が認識されたため
- 「体重8kg以上」は生理的成熟度の指標として用いられている