第21回 言語聴覚士国家試験 第108問
精神医学第21回
精神障害の分類と診断基準について正しいのはどれか。
- 1.日本の「疾病、傷害及び死因の統計分類」はICDの分類に基づいている。 ✓
- 2.DSMは精神障害の原因に基づく診断基準である。
- 3.外因性・内因性・心因性という分類は操作的診断基準に基づいている。
- 4.操作性診断基準は客観性に乏しく国際的な疾患統計の比較には適さない。
- 5.DSMは文化的背景の特殊性に配慮して国ごとに基準を定めている。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 日本の「疾病、傷害及び死因の統計分類」はICDの分類に基づいている。
日本が採用している統計分類体系は国際疾病分類(ICD)に準拠しており、世界保健機関(WHO)による国際基準を導入しています。これにより、各国の疾患統計が比較可能になり、国際的なデータ統計整備が実現されています。
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【各選択肢の解説】
1. 日本の「疾病、傷害及び死因の統計分類」はICDの分類に基づいている。
✅ 正しい。日本は厚生労働省がICD(現在はICD-10)に基づいた統計分類を採用し、国際的な疾患統計の標準化と比較可能性を確保しています。
2. DSMは精神障害の原因に基づく診断基準である。
❌ 誤り。DSM(精神障害の診断と統計マニュアル)は「症状に基づく」診断基準です。原因不明な症状を観察的・経験的に分類するアプローチであり、「原因を仮定しない」ことが特徴です。
3. 外因性・内因性・心因性という分類は操作的診断基準に基づいている。
❌ 誤り。この古典的分類は「原因論的分類」であり、「操作的診断基準」(症状パターンを客観的に列挙)とは異なるアプローチです。操作的基準はDSMやICD-10の枠組みで採用されています。
4. 操作性診断基準は客観性に乏しく国際的な疾患統計の比較には適さない。
❌ 誤り。操作的診断基準は逆に「高い客観性」を持ち、国際比較に最も適した基準です。症状の有無・期間などを数値化・具体化するため、異なる文化・言語圏でも統一的に診断できます。
5. DSMは文化的背景の特殊性に配慮して国ごとに基準を定めている。
❌ 誤り。DSMは「世界共通の診断基準」として設計されており、国ごとに異なる基準を定めていません。ただしDSM-5以降は「文化的概念」セクションで文化差に留意するよう促していますが、基準そのものは統一です。
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【試験対策ポイント】
診断基準の3つの枠組み(対比表):
| 分類方法 | 特徴 | 採用例 | 国際比較 |
|---|---|---|---|
| 原因論的分類 | 外因性・内因性・心因性。原因を仮定 | 古い教科書・日本の伝統的分類 | 低い |
| 操作的診断基準 | 症状・期間・除外基準を客観化 | DSM・ICD-10/ICD-11 | 高い |
| 記述的分類 | 症状の特徴を言葉で記述 | 個別事例報告 | 最低 |
重要キーワード:
- ICD:WHO発行。1〜3年ごとに改訂。現在ICD-11(2022年発効予定)移行中
- DSM:米国精神医学会発行。DSM-5は「非階層的」「症状スペクトラム」重視
- 操作的診断基準:「A症状がN個以上、B期間以上」という数値化された基準
- 文化的配慮:基準そのものではなく「診断時の解釈」に反映させる
誤りやすいポイント:
- 「操作的=不正確」は大誤解。正反対で「再現性が高い」
- DSMは「原因フリー」。症状パターンのみで診断
- 国ごとに基準を変えると統計比較ができない(むしろ国際基準の意味がない)