第21回 言語聴覚士国家試験 第113問
臨床神経学第21回
神経原性筋萎縮でみられるのはどれか。
- 1.偽性筋肥大
- 2.病的反射
- 3.線維束性萎縮(線維束性攣縮) ✓
- 4.深部腱反射亢進
- 5.血清クレチンキナーゼ値上昇
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 線維束性萎縮(線維束性攣縮)
神経原性筋萎縮は脊髄前角細胞や末梢神経の障害で脱神経が生じた場合に見られます。脱神経された筋線維の筋膜下の自発的な収縮が線維束性萎縮で、これはALS・脊髄損傷・末梢神経障害などの神経原性疾患の特徴的所見です。EMG検査で高振幅・長持続の運動単位活動電位を記録でき、臨床的には皮膚表面の波状の動きとして観察できます。
---
【各選択肢の解説】
1. 偽性筋肥大
❌ 誤り。偽性筋肥大はduchenne型筋ジストロフィーなどの筋原性疾患の特徴で、脂肪・結合組織が筋を置き換えるため筋肉が肥大して見えます。神経原性筋萎縮ではこれは起こりません。
2. 病的反射
❌ 誤り。病的反射(バビンスキー反射など)は上位運動ニューロン障害(錐体路障害)で見られ、脊髄損傷や脳卒中に典型的です。下位運動ニューロン障害である神経原性筋萎縮では病的反射は出現しません。
3. 線維束性萎縮(線維束性攣縮)
✅ 正しい。脱神経された筋線維が自発的に収縮する現象で、神経原性疾患の最重要所見です。EMGで明らかに検出され、ALSの診断基準に含まれます。皮膚表面で観察可能なため臨床的価値も高いです。
4. 深部腱反射亢進
❌ 誤り。深部腱反射亢進は上位運動ニューロン障害で見られます。神経原性筋萎縮は下位運動ニューロン障害のため、反射は減弱または消失し、亢進することはありません。
5. 血清クレアチンキナーゼ値上昇
❌ 誤り。CK上昇は筋肉が壊れるときの筋原性疾患(筋ジストロフィー・多発性筋炎など)の特徴です。神経原性筋萎縮ではCKはほぼ正常値のままで、上昇しても軽微です。
---
【試験対策ポイント】
上位運動ニューロン障害 vs 下位運動ニューロン障害
| 項目 | 上位運動ニューロン(錐体路) | 下位運動ニューロン(末梢神経・脊髄前角) |
|---|---|---|
| 筋萎縮 | 軽度・後期 | 著明・早期 |
| 線維束性攣縮 | × | ◎ (神経原性疾患の特徴) |
| 深部腱反射 | 亢進 | 減弱・消失 |
| 病的反射 | ◎ バビンスキー陽性 | × |
| 筋緊張 | 亢進(痙縮) | 低下(弛緩) |
| CK値 | 正常~軽度上昇 | 正常(筋原性との区別) |
神経原性 vs 筋原性の臨床的鑑別
| 項目 | 神経原性筋萎縮 | 筋原性筋萎縮 |
|---|---|---|
| 線維束性攣縮 | ◎◎◎ | × |
| 偽性筋肥大 | × | ◎(ジストロフィーで) |
| CK値 | 正常・軽微上昇 | ↑↑↑ (著明上昇) |
| EMG所見 | 高振幅・長持続運動単位 | 短時間・