第21回 言語聴覚士国家試験 第116問
臨床神経学第21回
口部ジスキネジアで正しいのはどれか。
- 1.睡眠中に出現することが多い。
- 2.抗精神病薬の長期投与によって出現しやすい。 ✓
- 3.思春期に発生することが多い。
- 4.舌の疼痛を伴う。
- 5.舌に限局した動きである。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 抗精神病薬の長期投与によって出現しやすい。
口部ジスキネジア(orofacial dyskinesia)は、抗精神病薬(特に典型抗精神病薬)の長期投与に伴う遅発性ジスキネジアの代表的な形態です。数年以上の投与によって出現し、特に高齢者で頻度が高いとされています。
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【各選択肢の解説】
1. 睡眠中に出現することが多い。
❌ 誤り。口部ジスキネジアは覚醒時に出現し、睡眠中には消失することが特徴です。逆に寝返りや努力的な活動によって増悪します。
2. 抗精神病薬の長期投与によって出現しやすい。
✅ 正しい。典型抗精神病薬(ハロペリドール等)の長期使用によるドパミン受容体超敏感化が原因とされています。これが遅発性ジスキネジア(Tardive dyskinesia)の最重要危険因子です。
3. 思春期に発生することが多い。
❌ 誤り。口部ジスキネジアは高齢者に多く発生します。思春期に好発するのは一次性ジストニアや突発性トゥレット症候群などです。
4. 舌の疼痛を伴う。
❌ 誤り。口部ジスキネジアは不随意運動(舌突出・咀嚼様運動・唇撮動など)を特徴としており、疼痛を伴いません。疼痛は神経根症や三叉神経痛の特徴です。
5. 舌に限局した動きである。
❌ 誤り。口部ジスキネジアは舌だけでなく、唇・頬・顎・咀嚼筋など口腔周囲全体の非律動的な不随意運動を示します。むしろ多部位を巻き込むことが特徴です。
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【試験対策ポイント】
遅発性ジスキネジアの主要形態と特徴:
| 形態 | 出現部位 | 特徴 | 薬剤との関連 |
|---|---|---|---|
| **口部ジスキネジア** | 舌・唇・顎 | 覚醒時に増悪 | 典型抗精神病薬 |
| **四肢ジスキネジア** | 手指・手 | リズミカル | 同上 |
| **体幹ジスキネジア** | 体幹 | スウェイング | 同上 |
抗精神病薬による運動副作用との鑑別:
| 副作用 | 発症時期 | 可逆性 | 対応 |
|---|---|---|---|
| アカシジア | 数日~数週 | 可逆 | ベータ遮断薬・抗不安薬 |
| 急性ジストニア | 数時間~数日 | 可逆 | 抗コリン薬(ベンザトロピン) |
| **遅発性ジスキネジア** | **数ヶ月~数年** | **不可逆** | **減量・薬剤変更** |
重要否定知識:
- 睡眠中は「消失」(出現するのではない)
- 疼痛はない(不随意運動のみ)
- 舌「限局」ではなく口腔周囲全体に及ぶ
- 高齢者に多い(思春期ではない)